建通新聞社四国
2010/12/14
【愛媛】3カ所で初弾工 重信川の堤防浸透対策
国土交通省松山河川国道事務所は、重信川で堤防浸透対策を計画、初弾として垣生個所など3カ所に着手する考え。測量設計はクレアリア(高松市)に委託、納期は2011年3月15日までを予定している。
重信川の堤体盛土材料は、主に砂礫質土で構成されている。また扇状地河川であるため、基礎地盤も砂礫質土であるという。砂礫質土は一般的に透水性が高く、洪水時に漏水発生の要因になることが多い。
同事務所では、河川堤防設計指針などに基づき、堤防の浸透に対する安全性の点検を08年度に実施した。重信川と石手川を合わせた延長42・7`を点検したところ、堤防強化が必要な区間は延長16・7`と判明。事業は、堤防漏水の発生状況を注視しつつ、被災履歴、被災規模、現在の堤防が有している背後地の社会条件なども考慮し、優先度が高い区間から計画的に対策を実施する。
初弾として選定された個所は、垣生個所(延長600b)、大間個所(延長400b)、中川原個所(延長700b)の3カ所。
対策工法としては、▽堤防断面を透水しにくい材料で大きくし、河川水を浸透しにくくする「川側断面拡大工法」▽川側堤防斜面を護岸などで被覆することで河川水を浸透しにくくする「川側堤防斜面遮水工法」▽河川敷を透水しにくい材料(主として粘土質材料)で被覆することで河川水を浸透しにくくする「ブランケット工法」▽川側堤防斜面下端などに止水矢板などで遮水壁を設置し、河川水が基礎地盤へ浸透しにくくする「川側遮水工法」▽堤体の居住地側堤防斜面下端にせん断強土の大きい材料で置き換え、堤体の安定性を増加させる「居住地側堤防斜面置換工法」─などがある。委託業務では、現場の状況に応じ適切な工法を選定し、組み合わせた漏水対策を検討する。
また、今後の洪水で漏水が発生し、堤防が危険な状態と判断されれば、緊急的な整備を実施する方針だ。