北海道建設新聞社
2010/11/08
【北海道】CO2を海底に封じ込め−実証試験地候補の苫小牧に調査井
日本CCS調査(本社・東京)は、苫小牧沖への二酸化炭素(CO2)貯留の可能性調査で、地質詳細データ取得を目的とした調査井掘削を5日夜から、苫小牧市汐見町地先で開始した。CO2貯留層に想定する海底約3000m付近まで掘り進み、来年2月中旬までに地質サンプルを採取し、流体物の浸透性調査を実施する。
経済産業省が実用化を検証しているCO2の分離・回収・地中貯留技術(CCS)は、CO2を地中に封じ込めることで、大規模な削減を目指す技術。苫小牧沖は技術実証試験地として有力な候補地になっており、日本CCS調査が同省の委託を受けて調査を進めている。
同社は大型掘削機「リグ」の据え付け作業を10月から着手し、4日に完了。掘削開始に当たり、5日、現地に報道陣を集めて施設や調査の概要を説明した。
掘削機は、苫小牧港西港区土砂処分場に建設した高さ48mのやぐら内に設置。ここから沖合に1740m、垂直深度で3050mの地点にある地層まで掘削する。
調査では、CO2を封じ込める「ふた」の役割を担う遮へい層をはじめ各地層の地質サンプルを採取。また、実際にCO2をためる貯留層では水を圧入して浸透率などを調査し、苫小牧沖が実証試験地として適性かどうかを判断するデータを取得する。