福島建設工業新聞社
2010/11/04
【福島】県内企業が中国で技術支援/陰山建設/国際交流版新分野開拓
本県内の地場建設業者が中国のマンション系内装工事の技術指導に乗り出し、日中両国の経済界や建設業界から注目されている。中国の施工業者に現地で技術指導を始めたのは郡山市に本社を有する陰山建設(陰山正弘社長)で県建設業協会会員。中国の国営デベロッパーと日本の穴吹工務店の“遺伝子”を受け継ぐ3社との“日中大型コラボ”に同社の技術力が認められ、遅れている中国の建築技術をグレードアップするため講師派遣を求められたもの。陰山建設はこの10月から上海に有資格者を派遣し、塾などの形態で施工図の書き方・読み方、仕事の手順、材料の選定、検査要項などを指導している。建設業の新分野進出が促進される中で、同社の取り組みは、本業を生かした“国際交流版”新分野開拓に位置付けられる。
きっかけは、直接の講師派遣依頼会社となった上海穴吹装飾工程(有)(丁峰社長)に陰山社長の知人がいたこと。今年9月、同装飾工程会社の丁理事長から山建設に届いた「建設施工技術の指導・教育に対する講師派遣依頼書」によると、同社は中国を代表する政府系デベロッパーとの太いパイプを持ち、これをベースに中国全土で施工コンサルタント業務を展開する内装施工会社。
代表的な実績が、上海市で施工とコンサルティングを行った「東和公寓」。日本人学校を同一敷地内に誘致した日本人向け高級マンション(24階建て5棟413戸)で現在3期の工事中だが、これを中国のデベロッパーと日本の建築技術の融合例として成功させたいという。「優れた技術は国境を越えて受け入れられる」(丁社長)の信念のもと、本県で長年にわたり実績を積み上げ、地域の信頼を得ている同社に着目し協力を求めた。そして「技術や人材の交流だけでなく、日中両国、そして郡山市と上海市の相互理解がより深まる極めて意義ある合作、と位置付けている。