長岡京市友岡に計画されている阪急京都線の新駅について、阪急電鉄梶i代表取締役社長角和夫氏、大阪市北区)と長岡京市は、工事協定の締結に向け協議を進めている。新駅の建築レイアウトも概ね完了しているとみられ、11月か12月中に工事協定の締結となる見通し。新駅は第二外環状道路の高架下に設置されるが、高架下の暗さを解消するためガラスを多く使用する考えで、外光を多く取り入れた明るい駅舎となりそうだ。
駅に起因する二酸化炭素排出量を実質的にゼロにする日本初のカーボン・ニュートラル・ステーションとして整備された阪急摂津市駅を参考に新駅の環境対策を検討している。新駅は第二外環の高架道路の下という立地で太陽光が遮られるため、太陽光発電設備の設置場所・設置面積が限定されるなど太陽光による発電には不利な環境となるが、できるだけ設置場所を確保する方針。高架下の暗さを解消するためガラスを多用し外光を多く取り入れ、駅舎内における明るさを確保する。新駅の詳細設計はアーバン・エース(大阪市北区)で進めている。長岡京市との駅舎レイアウトなどの協議が長引いたことから、詳細設計は当初予定していた21年度中の完了から22年度にずれ込んでいた。
阪急と市が工事協定を締結した後、阪急が工事を発注し、新駅舎の施工業者を決める。工事協定の締結は11月か12月中となる見通しのため、施工業者の決定は早ければ年内、又は年明け頃になるとみられる。
新駅の設置場所は阪急京都線の調子踏切の北側、長岡京市友岡4丁目付近。新駅は地平駅で相対式ホーム2面、改札口2ヵ所、上下ホーム連絡地下通路、エレベーター2基(ともに11人乗り)、エスカレーター4基。24年度末頃の新駅開業時の乗降客数は1日約8000人を見込む。なお長岡天神駅の乗降客数は1日3万7224人(21年度)。
新駅と周辺整備を含めて概算事業費は約35億円が見込まれており、このうち約20億円の駅舎整備は市と阪急側が折半で負担し合う。市は22年度当初予算に阪急新駅駅舎建設工事負担金として、22年度〜24年度にわたる継続費に9億4114万円(22年度…2000万円、23年度…3億3600万円、24年度…5億8514万円)を設定している。これまでに市はJR島本駅や阪急摂津市駅などの視察を行っており、駅舎建設費用負担の在り方やまちづくり交付金の活用法のほか、環境対策や地区計画策定などについて調査した。
駅東西の駅前広場等は市が整備する。駅前広場は東西あわせて、約6800u程度となる予定。パーク&ライド駐車場のほか、自転車駐輪場は合計1000台程度を収容する。市は新駅関連の業務として、21年度に▽阪急新駅駅前広場等詳細設計業務委託…キタイ設計京都南事務所(京都市左京区)−を実施。22年度に▽阪急新駅駅前広場詳細設計委託その2…パシフィックコンサルタンツ京都事務所(京都市下京区)▽阪急新駅駐輪場・駐車場詳細設計委託…阿波設計事務所(大阪市浪速区)▽高速バス停関連施設詳細設計委託…新大阪設計事務所(大阪市住吉区)▽阪急新駅駅前広場歩道橋詳細設計委託…全日本コンサルタント京都営業所(京都市南区)−を委託した。このうち高速バス停関連施設は、新駅の上をまたぐ第二外環に新設される高速バス停と地上部までの上下移動のためのエレベーターや非常階段等となる。新駅付近には交番も設置される。大山崎町側にある交番機能を移すことになるとみられる。
第二外環の橋脚工事が進む新駅の設置場所付近では現在第二外環・新駅関連の2つの工事が進められている。京都府が阪急に委託した阪急京都線アンダーパス工事と、長岡京市が阪急に委託した新駅設置に伴う東西自由通路整備工事。阪急京都線アンダーパス工事は、第二外環に並行する形で京都府がアクセス道路として整備する側道について、新駅の設置場所付近で阪急軌道と交差(アンダーパス)する部分の工事を阪急に委託。主な工事概要は、阪急京都線交差部のアンダーパスと市道2050号線の擁壁で、▽軌道下約6・5mが府道の車道面となるような鉄道橋(L20m)を架設▽京都側に幅員3・5mの歩道を併設▽軌道の東西に作業構台を設け、仮橋を架設し、軌道下で下部工を築造、仮橋撤去の後に本橋架設▽軌道部の杭打・橋桁架設は夜間、下部工は昼間工事−など。構造形式は橋梁形式(PCプレテンション方式)、橋長L19・9m。L型擁壁(側道部)はL102m。東西自由通路は、駅東西の駅前広場を連絡する歩行者用の地下通路。工事概要は、土木工事(仮設工一式、ボックスカルバート工L11m、U型擁壁工L90m)▽鉄道関連工事(軌道工事一式、信号工事一式、電力線路工事一式。京都府、長岡京市はそれぞれ阪急と工事協定を締結、阪急に工事を委託し、阪急が工事発注。両工事とも施工は間組−淺沼組JV(大阪市北区)で現在工事を進めている。施工監理はアーバン・エース(大阪市北区)が担当。
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3月開業の摂津市駅
駅周辺で大型開発進む 阪急は、大阪府摂津市に摂津市駅を3月14日開業した。摂津市駅は地平駅で、相対式ホーム2面、改札口2ヵ所、上下ホーム連絡地下通路、省エネルギー型エレベーター2基、一般トイレ、多機能トイレを完備。太陽光発電やLED照明、ヒートポンプ式電気給湯器、エレベーター回生電力利用、雨水利用などの省エネ設備を積極的に導入し、二酸化炭素排出量の削減と二酸化炭素排出枠購入により、駅に起因する二酸化炭素排出量を実質的にゼロにする日本で初めてのカーボン・ニュートラル・ステーション。摂津市駅新設工事のうち、土木・昇降機設備・建築・設備工事の施工は熊谷組(東京都新宿区)が担当。設計・監理はアーバン・エース(大阪市北区)。
摂津市駅周辺では南千里丘土地区画整理事業による大型開発が進められている。旧ダイヘン摂津事業所跡地を開発するもので、三井不動産レジデンシャル滑ヨ西支店(大阪市中央区)が(仮称)摂津市千里丘計画A街区プロジェクトとして進めてきた586戸収容の大型分譲マンション、パークシティ南千里丘(RC造一部S造地下1階地上20階建、延6万7562u)は熊谷組関西支店(大阪市西区)が施工。23年3月下旬に完成する予定。
隣接する(仮称)摂津市千里丘計画B街区のプロジェクトは同じく586戸収容、延7万2635u(43階建)の大型分譲マンションとなる予定。設計は清水建設関西事業本部一級建築士事務所(大阪市中央区)。22年11月着工、25年3月末完成を予定する。
潟ニチカエステート(大阪市中央区)のシニア向け分譲マンション、ユニエス南千里丘(RC造一部S造13階建、延1万0943u)は長谷工コーポレーション(大阪市中央区)が施工を担当。内部には128戸を収容するほか、医療法人大滔会のいながき内科・小児科クリニック、ユニバーサル薬局摂津店、潟zロニクスの摂津医誠会訪問看護ステーション・ケアプランセンター摂津を収容、オープンは23年春頃を予定する。このほか、駅前には摂津市立コミュニティプラザ・摂津市立保健センターが7月に完成し開設。新住民の生活を支える施設も整いつつある。