北海道建設新聞社
2010/09/22
【北海道】三笠市が風力や炭鉱坑内水生かし新エネルギー開発
新エネルギーに生かせ、産炭地域の特性―。三笠市は、風力や炭鉱坑内水を活用したエネルギーの実用化に向けた検討を進めている。市企画経済部企画振興課では「設備投資などの諸課題を順次解決しながら、早期に取り組みたい」と話し、道の駅「サンファーム三笠」がある岡山地区では一般家庭も視野に、風力発電による電力供給の実現を目指している。
市は基礎データの収集を目的に2008年度に各種調査を実施。風力発電に関連した風況調査では、市内で比較的風が強い地域とされる岡山地区の展望施設「太陽の丘」付近に30m級のポールを立て、4―5カ月かけて風力などを測定した。
この調査から、平均風量5・2パーセコンドの数値が得られ、一般家庭で二十数世帯分の電力を賄うことができるとされる数十`hから100`hの電力供給が図られるという結論に至った。
一方、旧北炭幌内炭鉱跡地の坑道内にたまった温水(坑内水)貯留量調査では、ゾンテと呼ばれるセンサーを坑道内に入れて貯留層の水位や貯留水の温度を測定。地上から深度220m付近まで水位が上昇しており、深度760m付近では人間の体温に近い36度の水温が確認された。
この結果を受け、市では貯留されている坑内水を道路融雪やヒートポンプの熱源として利活用できるよう、具体化に向けた協議を進める考えだ。
市の地域新エネルギービジョンは09年1月に策定。「人と自然、歴史をつなぎ つたえる新エネルギー」を基本テーマに掲げ、ヒートポンプ利活用などの冬快適プロジェクトや雪氷活用、バイオマスエネルギーのにぎわい・活気復活プロジェクトなど7施策を重点プロジェクトに位置付けている。
このうち、公用車のハイブリッド車転換などクリーンエネルギー自動車導入プロジェクトや市内小中学校で環境教育などを行う新エネルギー普及啓発プロジェクトは一部で具現化するなどの動きを見せているが、現在は、風力発電と坑内水の実用化に向けた検討を進めている。