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福島建設工業新聞社
2010/09/16

【福島】「おじいちゃんち・診て見隊大作戦」初授業/高校生が耐震診断実施方法学ぶ

 県立福島工業高校建築科生徒を対象とした「おじいちゃんち・おばあちゃんちは大丈夫?診て見隊(みてみたい)大作戦」の初弾となる授業が15日、同校で行われた。高校生が木造耐震診断の実施方法を学び、自宅や親戚の家を診断させて、耐震の気運を高めて防災の糸口にしようと県耐震化・リフォーム等推進協議会(田畑光三理事長)が企画した。将来は普通高校を含めた全県下高校に広げたい考え。
 今回は初回のため田畑理事長が立ち会い、浅里和茂日本大学工学部教授が「地震のメカニズム」について講義した。
 浅里教授は、地震発生をウェゲナーのプレートテクトニクス説から解説。地殻は地球規模から見ると紙のようなもので、この移動が地震につながるとして、近年起こった地震を区分し説明した。福島盆地西縁断層帯でM7の地震が起きれば、福島市内では震度6強の揺れが生じるとし、これまで改定された設計基準の違いによる全壊率を説明して「震災はあすやってくるかもしれない。設計を行う上では、常にこうした視点を持ちながら学習してほしい」と耐震化の重要性を訴えた。
 生徒の中には、日本大学への進学希望者もおり、大学の体験講義のような、時事を取り入れた浅里教授の話を熱心に聴き入っていた。最後に3年生学級委員長の植松丈晴君がお礼の言葉を述べた。
 10月には、同協議会会員や建築士事務所協会会員が協力して「過去の地震の被害履歴と建築物耐震化の重要性」「木造住宅耐震診断の基礎知識」について講義する。11月には3年生を対象に現地調査を行い、そのデータを基に実際にパソコンソフトを使用して診断を行う。診断の結果を所有者に報告し、倒壊の恐れがある場合は精密診断を促す。  同校には、こうした試みを聞きつけた近隣の住民から「ぜひ、うちも生徒さんの学習に利用してほしい」とした声も上がっているという。