静岡県の事業を再評価する「事業仕分け」が9月4日、5日の2日間で行われ、県単独道路整備事業費や県営漁港整備事業費、県単独治山事業費など建設関連25事業のうち19事業が事業仕分けチームから「要改善」と評価された。事業の必要性は認めつつも、大半の事業に対し「コスト意識が低い」との見解が示された。「現行通り実施」は、社会資本整備総合交付金事業費(災害防除費)など3事業、都市下水路事業費助成と県営農業基盤整備事業費は「不要」という評価結果が出た。今回の仕分け結果は、必ずしもすべてが2011年度当初予算に直結しない。しかし、川勝平太知事は、「不要とされた事業を(予算書)にそのまま載せるわけにはいかない」と述べており、要改善の事業も含めて計画期間の短縮や事業費の縮小などが考えられる。
今回、仕分けの対象となった事業数は、103事業で総額428億7000万円。このうち、建設関連では25事業を仕分けした。
磯山友幸氏(経済ジャーナリスト)、伊藤修二氏(ヤマハ特別顧問)ら7人の「有識者仕分け人」に加え、一般公募で選ばれた県民委員30人が5グループに分かれて事業仕分けを実施。県庁職員が事業概要を説明し、それを受けて仕分け人が質疑・議論する形で進行した。
県の担当者は、防災・環境対策など幅広い視野で事業効果や必要性を強調。仕分け人は、「すでに目的を達した」「本来、民間で実施すべき事業」「事務作業が市町と重複し『二重行政』になっている」「整備効果の検証が足りない」など、県担当者に対して厳しく指摘した。
1事業ごとに、6人の仕分け人が「不要」「民間が実施すべき」「国が実施すべき」「市町が実施すべき」「民間能力を活用」「県で行うが改善が必要」「現行通り継続実施」 などの区分で評価した。
建設事業では、ほぼ大半の25事業が「要改善」と評価。11年度以降の事業継続がほぼ確約されたことになる。しかし、仕分け人は「あまりにも個別案件ごとの落札率を把握していない。県の財政が厳しい中で、民間企業のようにもう少しコスト意識を持って事業を執行してほしい」と指摘した。
「不要」とされた2事業については「県が助成する形ではなく市町が自主性を持って整備すべき」「既存施設との共存を図る施策の検討が求められる」との意見が出た。
今回、全103事業を仕分けした結果、「不要」と評価されたのは全体の約1割に当たる16事業。09年度の仕分けと比較して4件増えた。
「要改善」は65事業で、全体の約85%を占めた。今後、11年度当初予算編成の作業を進める中で、あらためて内容を精査し、見直し案が盛り込まれる。
2日間の仕分けを終えて、川勝知事は「今後、各部局から提出される予算要求については、10年度以上に厳しく査定する」姿勢を示した。事業仕分けの実施については「11年度も続けたい」と継続に意欲を見せるとともに、新たに「判定人を県民から募集することを検討したい」として改善する可能性を示唆した。
建通新聞社 静岡支社