第31回九都県市合同防災訓練が1日、君津市の小糸川漁港隣接地を主会場に行われ、一般市民と県、市当局や消防、自衛隊など過去最多の約215機関、総勢約8200人が参加し、本番さながらの大規模な訓練を展開した。
このうち、主会場訓練では、(社)千葉県建設業協会君津支部及び君津建設業協同組合、君津造園建設業協同組合の会員らが「道路啓開訓練」に参加。
また「避難所開設・運営訓練」では、(社)千葉県空調衛生工事業協会が、各種救助訓練などと同一会場で、学校の体育館に見立てた大型テントの避難場内に外部の空調施設から涼風を送り、避難環境の改善を図る「応急空調支援訓練」を実施。
当日の訓練は、君津市を震源域とするマグニチュード7.9、震度6強の直下型地震が発生。建物崩壊や火災など市内全域で大きな被害が出たことを想定した。
チェーンソーで倒木切断し撤去 炎天下での緊急交通確保・道路啓開訓練に参加した(社)千葉県建設業協会君津支部会員らは、チェーンソーや重機、搬送用トラックなどを駆使し、地震発生によって道路上を占拠した倒木をチェーンソーで切断後、迅速な行動でタイヤショベルやダンプトラックに積み込み、緊急交通路を確保した。
また、訓練本部席には、県幹部らとともに、協会本部の内山弘通・副会長や青木孝行・君津支部長らが詰め、一連の訓練を見守った。
室外に設置した空調施設で涼風 一方、避難所開設・運営訓練に参加した(社)千葉県空調衛生工事業協会は、学校の体育館などの避難所には、冷暖房設備が皆無に等しく、「災害弱者と言われるお年寄りや妊産婦、病中病後の人々にとっては、耐え難い苦しみが次々と押し寄せている」(同協会)との実情を踏まえて、一昨年の通常総会で1000万円の災害対策費を計上し、全国の空調衛生工事業協会に先駆けて、独自で空調施設を購入。
県空衛協では、その年から八都県市合同防災訓練(当時)に参加し、訓練での使用を実践。室外に設置した空調施設から涼風を送り、避難している老人や障害者など「災害弱者」の避難環境の改善を図ったことで、数多の注目を集めている。
県空衛協の訓練は、外調機をはじめ発電機、オイルタンク、仮設電源、耐熱材付フレキシブルダクトなどをトラック(4dユニック車)で被災現場まで搬送。建物脇にトラックを駐車し、そこから断熱材付のフレキシブルダクトにより、室内に冷風を送るもの。
空調機の搬入・据付は、訓練前日に行い、当日は午前9時から調整を兼ねた冷房運転を始め、同10時の避難所訓練開始から午後2時の同訓練終了までフル稼働し、延べ400uの大型テント内に涼を届けた。
ちなみに、備蓄設備の概要(空調機能力)は、冷房能力46.3kw、暖房能力41.5kw、風量80〜110CMM、電源3相200V、想定空調面積150u(室内温湿度28℃、68%)。
提供:日刊建設タイムズ