北海道建設新聞社
2010/08/27
【北海道】道内の経済成長率、実質では6年ぶりプラス−北洋銀
北洋銀行が26日に発表した2010年度の道内経済見通しによると、物価下落の進行などにより実質の成長率は09年度比0.2%増と6年ぶりのプラス成長となるが、名目の成長率は0.6%減少し、道内総生産は17兆6300億円にとどまる見通しだ。名目の成長率が前年度を下回るのは10年連続。北洋銀では、公共投資予算の追加が望めない現状で道内経済を回復基調に乗せるには、優位性のある観光や1次産業分野の重点化が必要であると指摘している。
道内経済の現状について北洋銀は、追加経済対策により09年度に大幅増となった公共投資が減少に転じた一方で、家電製品や自動車など一部耐久消費財の売れ行きが伸びたほか、分譲マンションを中心に住宅投資が持ち直し傾向にあることから「厳しさが幾分和らいでいる」と説明。
ただ、企業物価と消費者物価、企業向けサービス価格は、デフレ経済が続く中、いずれも低下傾向にあることから、実質はプラスながら実態経済に近い名目はマイナス判断とした。今後については、将来の不安を背景とする個人消費の伸び悩みなどから、「回復感は乏しいものになる」と分析している。
道内総生産の動向を見ると、個人消費に当たる民間最終消費支出は実質がプラス、名目がマイナスと判断。企業の人件費抑制が続き、消費者の節約志向が今後も続くとみている。住宅投資と設備投資は実質、名目ともにプラス、公共投資は実質、名目ともにマイナスの予測を立てた。
住宅投資については、10年度新設住宅着工戸数が、09年度より1000戸ほど多い2万8600戸程度に上り、戸建て、マンションを含む分譲物件の戸数は2割増しになるとみる。
設備投資は鉄鋼関連を中心とした大型投資が下支えすると説明。公共投資については、北海道新幹線新青森―新函館間の本格着工というプラス要因もあるが、国と地方自治体の財政難による大幅減は避けられないとしている。
北洋銀から調査業務の委託を受けている北海道二十一世紀総合研究所では、公共投資の落ち込みを民需の回復が辛うじて補っているのが現状であると説明。今後については「円高の進行と政策支援切れによる反動減の影響が懸念される」と話している。