千葉県土木施工管理技士会(宮村良典会長)は24日、千葉市内の千葉県労働者福祉センターにおいて、継続学習制度(CPDS)認定プログラムの「2010年度土木工事実行予算作成実務講習会」(6ユニット)を開き、会員ら約50人が受講した。(社)千葉県建設業協会が協賛、(財)建設物価調査会が後援。
この講習会は、土木工事の実践的な施工計画と適正な実行予算の組み方について、現場管理の合理化促進に結びつくよう、演習を通じてその手法の修得を図ることを目的としたもの。講師には、(財)建設物価調査会専任講師の徳永雅彦氏を迎えた。
講習会の冒頭で徳永講師は、まず、実行予算について、「個人の努力によるところもあるが、経験的に学んでいくということが多いので、一日で全部という訳にはいかない。私はイントロ(解説)をお話し、その後は皆さんが現場や会社で経験を積みながら学んで頂くことになる」と弁。
また、「実行予算は大きく分けて3通りの方法がある」とした氏は、「一つは、自社の蓄積した積算技術や積算データ及び実績から、独自の実行予算を作る方法。二つ目は、公表されている国の積算基準を参考にして作る方法。三つ目は、工事規模が小さいあるいは工期が短い時には、事後提出のかたちで、協力会社からの見積もり徴集、また、資材の見積書(見積もり価格)などを参考にして作る方法である」とし、実行予算は「それらが互いに組み合わさり出来ている訳である」と説明。
この講習会については、「決して書類づくりということではなく、現場に反映して、その実行予算通りに仕事が終えられるか否かが皆さんの努力になる訳で、最後に決算をして取り下げまで行う」としたうえで、「取り下げをしない間に、発注者や元請が倒産したということになると、何のために仕事をしたのか分からなくなる。公共工事であれば完成検査を出来るだけ早く行い、お金を頂くというのが正しい方法である」との認識を示した。
一方、自身が所属する(財)建設物価調査会に言及した氏は、「国交省の外郭であることから、私どもが発刊している本は90%以上が発注者向けのものとなる。発注者から依頼を受けて印刷製本をすると同時に、皆さんに販売もさせて頂いているが、これは、国の資料の公開ともなる」と説明。
それらを踏まえて氏は、「受注者を対象とした『乙向け』の授業は、この実行予算の講習会のみである。あとはすべて発注者の『甲向け』となり、発注者向けの資料で発注者の数字を使っての勉強会となる。発注者がどういった数字を使って勉強しているのが分かり、それはそれで良いが、皆さんが『自分たちで考えて見積もり書を作る』という勉強会は、この実行予算のみとなる」と弁。
さらに「発注者の積算基準に『実行予算』という言葉は出てこない。もっと結論的に言えば、発注者の積算では、利益は『一般管理費率』の中に含まれている。このため、利益がいくら出ているのかは分からない。積算と工事実施後の決算の時点とでは、物の値段も変わり、経営者側から見ればそういった利益が出ないかもしれない」とした氏は、「発注者の積算事情も知ったうえで、我々はどうすれば良いか、具体的に利益は何%でいくらになるのかを知りたい訳である。発注者の積算に対して、請負者は請け負った工事の中から、如何にすれば如何に利益が出るのか、それを勉強していく」と述べ、講義に入った。
提供:日刊建設タイムズ