北海道建設新聞社
2010/08/18
【北海道】上半期のマンション着工、賃貸回復、分譲は依然低迷
2010年上半期(1―6月)の道内新設住宅着工のうち、マンション着工戸数は4543戸となった。09年同期比44.1%増で、賃貸マンションが4138戸(65.3%増)と大きく伸びた。半面、分譲マンションは405戸で37.6%減。過去10年間で最低水準を更新し、1戸当たりの平均床面積は97・0m²と、3年ぶりに100m²を割り込んだ。リーマンショック以降、デベロッパーが新規供給を手控え、在庫圧縮を進めてきた「守り」の姿勢から「攻め」に転じる動きも目立ち始めているが、デフレ基調が続く中、消費者の購入意欲は読みにくくなっている。
集計は、国土交通省が毎月公表している新設住宅着工の中から、用途、建て方、構造などから、分譲マンションと賃貸マンションを分類。SRC、RC、S造のいずれかの構造で、分譲マンションは、分譲住宅の共同建て、賃貸は、賃貸住宅の共同建てを抽出してまとめた。
10年上半期の賃貸マンションの着工戸数は、リーマンショックの影響などで大幅に減った09年の反動で伸びた。不動産ファンドなど道外マネーが札幌市内に流れ込んだ06年上半期のピーク時に比べると半分近い水準にとどまっている。
インフォメーションシステムキャビン(本社・札幌)の志田真郷社長によると、当時建てられた入居率の悪い投資物件を利回りの合う形で運用し直すといったデフレ対応型の不動産再構築事業が成功しつつあり、新規着工が先送りされている状況だという。
分譲マンションはピークだった07年上半期の3322戸に比べて約9割減。過去最低と言われた08年をさらに下回る。
デベロッパー各社が完成在庫の販売を優先したことによるものだが、在庫圧縮に一服感が出始めたことで新規着工に踏み切るところも出始めた。住宅ローン金利が最低水準に迫っていることも業界にとっては追い風だ。
ただ、デフレ基調では、「後から買った方が安い」という心理が働くことから需要は先送りされる傾向が出る。地価下落で戸建て住宅に割安感が出ていることもデベロッパーには不安材料となる。
分譲マンションの1戸当たり平均床面積は01年から05年まで110m²超で推移。04年には123・4m²にまでなった。06年は前年秋に発覚した構造計算書偽造事件の影響や用地価格が上昇したこともあって97・1m²に減ったが、07―09年は106m²程度の広さを確保するようになった。
デベロッパー各社が狙う購買層は30代だが、かつてのように年収は伸びる世代ではない。4LDKでも100m²を切る物件が供給され始めているように、「広さが売り」だった道内の新築分譲マンションでも買いやすい価格に住戸をスリム化する傾向が出てきたようだ。