亀岡市教育委員会はこのほど、プロポーザル方式で業者選定していた川東小学校・高田中学校改築基本設計について、審査の結果、類設計室(大阪市淀川区)を特定したことを明らかした。
耐震化と老朽化対策で改築する川東小学校と高田中学校については、基本設計の担当業者選定で指名型プロポーザル方式を採用。5社(佐藤総合計画関西事務所、類設計室、安井建築設計事務所、松田平田設計大阪事務所、梓設計大阪支社)に技術提案書提出の意志確認を行い、4社(佐藤総合計画関西事務所、類設計室、安井建築設計事務所、梓設計大阪支社)が参加表明。7月27日に審査した結果、類設計室を特定した。
類設計室の提案に対しては、「地域特性を理解している」「取り組み体制・業務工程も明確」「担当チームは多様な小中一貫校を手がけ、信頼性、妥当性があった」「建替え手順に無理がなく合理的。地域の気候等や文化特性も十分に考慮されている」「実施方針のシステム化がはっきりしてわかりやすい」など審査委員からの評価が高かった。次点は佐藤総合計画関西事務所。
地域再生型の小中一貫校
2階建・平屋建併用、約5900uで提案 類設計室の提案のコンセプトは、地域ぐるみで学びを支え、郷土への愛着を育む〈地域再生型一貫校〉を目指す。国庫補助基準により、建物規模は約5900uと仮定し提案。基本構想段階で事例分析、利用調査等を踏まえ最適規模を検証する。建物階数は、異なる学年の交流が生まれやすく、運動場や屋外空間も比較的確保しやすい〈2階建・平屋建併用〉としている。
土地利用は、敷地西側中央に正門を配置。住民と児童生徒の交流の場となる「ふれあい広場」を設け、ふれあい広場の東側に開放機能のある管理・特別教室棟、北側を運動場とし、既存中学校体育館も含め、まとまりのある地域開放ゾーンを形成する。管理・特別教室棟の南側に普通教室棟を配置する。
管理・特別教室棟は2階建とし、玄関及び管理部門、特別支援教室のほか、多目的室、図書室、音楽室などの地域開放施設を1階に集約。2階には技術室、美術室などを置く。
普通教室棟は低学年、中学年、高学年の3クラスターを平屋建で分棟配置する。各普通教室棟の間の中庭には、各教室の専用庭となる上足対応の木の屋外スペース「ウッドテラス」を設ける。
耐震性を高めるため、平屋〜2階建の低層建物を整形な架構で計画し、安全係数1・25を確保。躯体にはFc=30の高強度コンクリートを使用、保有水平力1・25の割増設計を行って、100年建築の骨格を作る。外構計画では、雨水浸透性を持たせるとともに、建物下部や運動場などを利用した雨水貯留施設の導入も検討する。
T〜V期に分け建替え
仮設校舎ゼロめざす 中学校のグラウンドと教室棟南側の空き地を活用し、T・U・V期の3期に分け、仮設校舎が不要な建替え事業を実現させる。T期は高学年(現中学校)の普通教室と特別教室を建設し、現中学校教室棟を解体。U期は高学年及び低・中学年(現小学校)の特別教室と管理部門を建設して、現中学校管理棟を解体する。V期では低・中学年の普通教室を建設、現小学校校舎・体育館を解体し、最後に運動場などを整備する。
屋根には太陽光発電パネル約30kwを設置、室内照明には人感・昼光センサーを組み込み、建物の照明電力を全て太陽光発電でまかなう考え。屋根架構には集成材を使い軽量化を図るとともに、内装には木質系材料を用いて亀岡特有の湿気・結露対策とする。
校舎は勾配屋根を採用し、亀山城下町の町屋など地域の歴史遺産からデザインモチーフを抽出し、周辺の集落景観との調和を目指す。アプローチ空間には火の見櫓を設け、遠景からのランドマークとする。
運動場は両翼80m、200mトラック、100m直線コースを確保。運動場北側はイベント時の臨時駐車場(約50台)にもなり、敷地西側の駐車場とあわせ約100台の収容を可能にする。
業務工程表によると、22年8月・9月に基本構想(コンセプトと学校運営方針)、10月・11月に基本計画(施設計画の骨格、規模・デザイン方針)、12月から23年2月にかけて基本設計(法規・コスト・技術が整合した建築計画(基本設計図書の作成、各種許認可申請、CASBEE評価、基本設計概算、透視図作成))を行い、23年3月に報告書をまとめる予定。月1回、計6回の検討委員会、3回のワークショップを通じて関係者との理解と承認を得ながら業務を進めていく。