静岡県と県内市町が所有する施設の吹き付けアスベストの使用実態調査を行った結果、67施設(県有17施設・市町所有50施設)で使用が確認された。このうち、すでに58施設で処理が完了。残る未処理の9施設(すべて市町所有)では、立ち入り禁止などの措置を講じている。2010年度内に3施設、11年度以降に6施設で除去処理を実施する予定。県では今後、未処理施設を所有する市町に対して、飛散防止などの安全対策や、封じ込め・囲い込みなどの除去対策を助言する。
調査は、前回調査(2009年3月末時点)をフォローアップする形で、10年3月末現在の状況を把握するために実施。調査の対象施設は、県有施設と政令市を除いた市町所有の建物のうち、1996年度以前に竣工・改修した3841棟。建材中のアスベスト含有量(重量比)が0・1%を超える施設を「アスベスト使用」とした。
調査の結果、県有施設では17施設、市町有施設では50施設でアスベストの使用が判明した。このうち、県有17施設と市町所有の41施設では、除去や飛散防止措置を実施している。
未処理個所は、市役所や役場の階段天井裏や地下室の天井裏、浄水場やポンプ場機械室など、普段、一般県民には直接かかわりの少ない施設が大半を占める。今後の対応として、10年度内に市町所有の3施設、11年度以降に市町所有6施設で解体工事など処理を実施する。建物を所有する市町では、処理までの間、使用禁止や立入り禁止などの処置をとる。
未処理施設の概要は次の通り(カッコ内は所有自治体)。
〔10年度処理〕
▽焼津市役所本庁舎(焼津市)▽伊豆の国市韮山支所(伊豆の国市)▽伊豆の国市大仁支所(伊豆の国市)
〔11年度処理〕
▽星山浄化センター(富士宮市)▽富士見台下水処理場(富士市)▽焼津市産業会館(焼津市)▽大堰浄水場(河津町)▽国民宿舎かわづ(河津町)▽久保山経営施設(川根本町)
《全国=調査未実施は2493カ所》
総務省がすべての地方公共団体を対象に行った所有施設のアスベスト使用実態調査のフォローアップによると、2010年3月末時点で、調査対象の22万1576カ所の98・9%で調査が終了している。09年3月末時点より1・3ポイント進捗した。調査を行っていないのは2493カ所で、このうち356カ所は10年度中に調査予定だ。
すでに調査を終えた21万9081カ所のうち、アスベストの含有を確認したのは6626カ所。このうち60・1%の3980カ所はアスベストを除去済みだ。除去していない場合でも、46・6%の1234カ所では封じ込めなどの処理を行っている。このほか185カ所は10年度中に除去予定だ。残るほとんどの個所でも立ち入り禁止などの対策を行っており、ばく露の恐れがあるにもかかわらず対策を行っていないのは1カ所のみだった。
建通新聞社 静岡支社