県千葉地域整備センター管内の「千葉地区水防訓練」が28日、千葉市美浜区の県立幕張海浜公園Gブロック(浜田川右岸)で行われた。実施機関は、同センター(現地本部対応、現地対策班)と(社)千葉県建設業協会千葉支部で、業界側訓練参加者は60人余。
同管内の水防活動の円滑な実施とともに、(社)千葉県建設業協会千葉支部との業務協定に基づく協力体制の一層の充実を図るための合同訓練で、大雨による河川の増水、急傾斜地の崩落を想定した情報収集・伝達訓練のほか、洪水時の越流を防止するため土のう積み訓練を実施。
訓練項目は、@河川施設、道路施設、急傾斜地の点検訓練及び情報収集・伝達訓練A現地における土のう作り及び土のう積み訓練。
このうち、点検及び情報収集・伝達訓練では、携帯電話を活用し、桑納川(八千代市桑納)、印旛放水路(城橋ほか2橋付近)、菊田川(習志野市芝園3丁目)などの管内河川海岸施設9か所と急傾斜地3か所から、被害状況の画像を同センターの本部班に送信。ちなみに、携帯電話のメール画像の送信を水防訓練に取り入れたのは、06年の同地区水防訓練が初めて。
訓練に先立ち千葉地域整備センターの金澤和信所長は、まず、最近は日本各地で水害や土砂災害等が頻発していることに言及したうえで、「本県においては、ここ2−3年は大きな災害が発生していないが、我々もこれを『他山の石』とすることなく、『教訓』として日頃から取り組まなければと考えている」とし、この日の訓練については、「こういった災害や異常気象などに備える重要な訓練となる。暑い中での大変な作業ではあるが、熱中症など体調に気をつけて、訓練に励んで頂きたい」と激励し、あいさつとした。
また、同じく(社)千葉県建設業協会千葉支部の船越博文支部長は、「一昨日には茨城県において、たった15分の間に20数_というゲリラ型の豪雨が多数発生した。県内でも同じような豪雨となった場合、千葉地域管内においても道路の冠水や、場所によっては急傾斜地の崩壊等の恐れもあることから、本日の訓練を糧にし、実践に役立つものとして頂きたい」と要請し、あいさつとした。
同支部によると、メール画像での被害状況報告の発想は、これまでの道路パトロールなどから得た現場の経験の積み重ねによるものだという。
実際の風雨災害などによる被害現場からの状況報告は、これまで電話のみのやり取りに限定。そのため状況が細部まで伝わらず、災害対策本部からの指示が中途半端になったケースも否めないのが実情。
メール画像での被害状況報告は、被害の大きさを把握するのに有効な手立てであるとともに、集中的にどこの現場に人員を配置するか、とっさの判断に役立つほか、現場サイドでも作業指示を的確に受けられ、直ちに作業に着手することで、2次災害を未然に防ぐことができるという。
さらに、メール画像でのやり取りは、台風などの風雨災害に限らず、大雪による災害時でも効力を発揮。いずれの災害も地域により較差が生じることから、それらの意思の疎通を図るとともに、「組織化による迅速な対応」が期待できるとしている。
訓練の最後には金澤所長が、「炎天下における素早い対応は立派。災害時はよりシビアな状況が予想されるが、県と協会が一体となり、地域の安全を守っていきたい」と講評を述べ、一連の訓練を終えた。
提供:日刊建設タイムズ