昨年、赤潮によって養殖ブリが約121万匹(被害額約20.3億円)もの被害を受けた長島町。今年も早くも赤潮が発生し、2万匹を超すブリが被害に遭い、地元関係者は地元ブランドのたび重なる被害に落胆している。そのような中、地元の建設業からなる長島町建友会(福山義弘会長)は死魚の運搬や埋設処理に迅速対応。悪臭漂う現場では、早朝から夜遅くまで埋設処理に奔走する建友会の姿があった。(前原和彦・川内支局長)
昨年の悪夢から立ち直ろうとしている矢先での赤潮被害。漁業関係者は県が2日に発令した赤潮警報を機に養殖いけすの移動を始めたが、昨年よりも早い発生に移動が間に合わない養殖業者も多く、さらに長島周辺での同時多発的な赤潮発生が追い討ちをかけた。
本格的な被害が発生した7日から8日にかけては、漁協やそれぞれの部落から建友会や地元の建設業者に依頼が殺到。福山会長はすぐさまに地元漁協と打ち合わせを行い、会員各社と連携して埋設処理用のバックホウやダンプなどの重機と作業員の手配や段取りを行った。
取材に出向いた9日、浦底港では沖合いのいけすから死魚が次々と船で陸揚げされ、2tダンプに積み込んでは埋設地に運搬。許可を受けた埋設地ではバックホウで穴を掘り、死魚を段取りよく埋設した。しかし、鼻を突く死魚の悪臭は現場一帯に広がり、風下では呼吸が苦しくなるほど一段とひどいものがあった。
同建友会では、20年5月に長島町と大規模災害発生時における建設資機材の提供など「災害等発生時応援協定」を締結。昨年の赤潮被害に際しては「ブリは地元ブランドの一つ。町民の財産を守るのは同じ」と、重機と作業員を手配して埋設処理に尽力した。
福山会長は「昨年の経験が生かされ、会員との連携もスムーズに図れた。一日も早い終息を願っている」と語った。
埋設現場を巡回していた川添健町長も「養殖業者は対策や処分に追われ、その徒労感は想像を絶するものがある。建友会各社の迅速な対応に心から感謝している」と労をねぎらっていた。
帰路は衣類や髪にこびり付いた悪臭に苦しんだが、昨今の南大隅や霧島での自然災害の復旧作業、宮崎県境での口蹄疫防除などと同じく、地元建設業の地道な貢献活動が地元住民に安心安全を与えている−と感じた一日であった。
且ュ児島建設新聞<