南大隅町根占山本・船石川の土石流の影響で通行止めが続く国道269号の応急対策について、県は13日、砂防ダムからあふれた土砂を海岸まで誘導する水路の直線化工事に着手した。現場では、海岸側から開削し、土砂等が詰まった既設暗きょを撤去後、仮設橋の整備を進める方針。順調に進めば3〜5週間程度で完了するが、国道の通行再開については、「土砂流出等の状況次第」と慎重な姿勢を示している。
工事は、通行止めとなっている国道を約4m開削し、土砂等が詰まった既設の暗きょを撤去後、矢板を打ち込んで直線化。開削部分をまたぐ形で十数mの仮設橋を整備し、道路を1m以上かさ上げする。
整備は1カ月前後で完了する見通し。ただ、道路の通行再開に関しては、「今後の降雨や上流部からの土砂流出の状況を見ながら判断する」(県対策本部)としている。
12日に行われた説明会には、避難勧告を受けた大浜下集落の住民ら約100人が参加。県側から災害の現状や応急対策の状況等について説明があった。
南大隅町では、避難の長期化も視野に、仮設住宅の設置や町内の空き家活用に向けた検討を開始。疲労の色が見え始めた住民の不安解消に全力を注ぐ方針だ。
県対策本部によると、19年に同集落で発生した土石流災害で砂防ダムに堆積した土砂は約3万m3。今回はそれを上回る土砂量を見込んでおり、「上流部で一定量の土砂が除去されるまでは、(国道の)通行止めの完全解除は難しいかも」(現場関係者)としている。
砂防ダムの土砂除去に当たっては、遠隔操作ができる無人作業機械も準備。しかし、山は依然崩落の危険性があり、現場もぬかるんでいるため、全く手が付けられない状況にある。
且ュ児島建設新聞<