北海道建設新聞社
2010/07/20
【北海道】建設産業の活路は−土木学会主催でシンポジウム
協働型の地域づくり、まちづくり展開の中で建設産業の活路は―。土木学会建設マネジメント委員会(小澤一雅委員長)と、北海道土木技術会建設マネジメント研究委員会は16日、北大クラーク会館で地域シンポジウムを開いた。小澤委員長らが参加したパネルディスカッションでは、「シビルエンジニアリングの原点は市民、地域を支える工学。成功事例の戦略と実践を見極め、自らの活動に生かすべき」「環境とエネルギービジネスでは土木に多くのチャンスがある」など、新たな視点でのビジネスモデルを提言する意見が出た。
シンポジウムでは、土木学会建設マネジメント委員会の森望運営小委員長による活動報告に続いて、道内の建設業者による具体的な取り組み事例を紹介。「留萌観光元気プロジェクト」(発表者・高宮則夫チーフコーディネーター)、「稚内ワッコルプロジェクト」(同・富田伸司富田組社長)、「空知フード&ワインロード計画」(同・植村真美赤平よりみちの駅幌岡SOUKO代表)―の3事例が発表された。
パネルディスカッションでは、高野伸栄北大大学院准教授がコーディネーターを務め、小澤委員長と金谷年展慶大教授、砂子邦弘砂子組社長、植村代表、森望国土技術政策総合研究所建設マネジメント研究官―の5人が参加。参加したパネリストからは「海外進出に関しては抱える課題は共通なものがあり、中でも投資に対するリスクに慎重になりすぎる経営者が多い。PPIなど投資的モデルをどう考え、踏み出していくかがポイント」(小澤委員長)といった指摘があった。
また、現在もベンチャー企業のトップとして活躍する金谷教授は「われわれが進めてきたことと、きょうの事例発表にあった取り組みは共通点が非常に多い」と述べた上で、具体的なビジネスモデルとして地中熱ヒートポンプなど、環境、エネルギー分野での新技術を挙げ、「住宅はこれまでの建築から土木が重視されるようになる。こうした技術をいかに自社のものとして展開していくかが重要」と発言した。
シンポジウムに先立って開かれた北海道土木技術会建設マネジメント研究委員会の10年度通常総会では、委員長に高野伸栄准教授、副委員長に福本淳開発局技術管理課長、幹事長に倉内公嘉小樽開建次長、事務局長に小賀坂俊昭北海道開発技術センター参事を新任。伊藤昌勝前委員長は顧問に就任した。