トップページお知らせ >地方ニュース

お知らせ

地方ニュース

日刊建設タイムズ社
2010/07/15

【千葉】関東地方整備局と千葉県建設業協会との意見交換会/「県内業者の受注機会確保」目玉に

  国土交通省関東地方整備局(菊川滋局長)と(社)千葉県建設業協会(鈴木雅博会長)との意見交換会が15日、千葉市内のホテルポートプラザちばで開かれ、総勢50人余が出席した。内訳は、関東地方整備局が21人、協会が24人、オブザーバーとして県から6人、千葉市から2人。
 この会議は、業界・国・地方の3者が率直な意見交換を行うことで、公共工事の品質の確保と社会資本整備の理解促進などについて、今後、発注者と受注者が互いにパートナーとして一体となり、諸課題の改善に取り組むことを目的としたもので、関東地方整備局では、管内の各都県建設業協会との意見交換会を順次行ってきた。
 この日の意見交換は、協会側から、@千葉県内建設業者の受注機会の確保A入札・契約手続き及び一般競争入札の地域要件、総合評価方式等のあり方B設計内容や積算価格等の課題C設計変更手続き、着工に至るまでの問題点D現場管理や工種・工程など各段階での問題点Eその他、問題点――などについて提議したほか、フリー討議や関東地方整備局からの情報提供で構成。7.16
 議題の目玉となった「千葉県内建設業者の受注機会の確保」については、意見交換会に先立ち、別室で行われた会議の席で、鈴木会長から菊川局長に対して「要望書」(別項参照)を手渡した。
 同協会によると、所属会員の大半は国土交通省の「C・Dランク」に格付け。このランク内での09年度の契約率は50%程度にまで上昇する一方、県外の大手企業を対象とする「A・Bランク工事を含めた全体発注量」の中では、依然として20〜30%程度のシェアに留まっているのが実情。
 要望では、A・Bランク工事であっても、施工内容によっては県内企業でも十分対応可能な案件が含まれると考えられることから、工事中の地元対応や施工後の維持管理の面など、地元企業の有利性を十分考慮した県内要件の拡充により、例えば「B・Cランク企業の混合参加も可能」とするなど、要件を緩和した形の工事発注が行われるように、関東地方整備局としての対応を迫ったもの。
 意見交換会では、議事に先立ち、菊川局長、増岡洋一・県県土整備部理事、鈴木会長の3氏があいさつ。
 この席で菊川局長は、今年度の国政全体の予算が1978年の水準にまで落ち込んだことや、厳しい財政状況の中で予算を組んだことを説明したうえで、「この厳しい環境の中にあっても、発注という観点からすると、例えばダンピング対策をしっかりと行い、契約後の協議をもっと円滑にして、適正利益を確保していくことが大事」とし、「本日は発注行政と業行政の両面から意見交換をしていきたい」と弁。
 引き続き、県を代表して増岡理事が、「県では昨年来、千葉県総合経済対策を策定するなど、県民や企業の安心・安全に生活・活動ができる社会基盤の整備を新たに盛り込むなど、地域活性化のための施策を実施。また、昨年に引き続き、前倒し発注についても積極的に実施していく考えでおり、現在のところ、昨年並みの発注水準にある」と説明。
 また、この日のテーマである『県内建設業者の受注機会の確保』について氏は、「県における公共事業の発注においては、県内建設産業の活性化に繋げていくために、県内建設業者が施工可能な案件について、原則すべて県内業者に発注することとし、受注機会の確保・拡大に努めている」とし、09年度の県の発注工事の実績として、「県外業者を比較して、金額ベースでは約72%、工事件数では約89%という状況にある」と説明したうえで、「災害時に安全安心を担当してくれる、大切な社会基盤産業としての県内の業界に対しては、少なくともこの発注水準を維持し、拡大していきたい」との考えを示した。
 さらに、「本日は関東地方整備局と県内建設業を代表する皆さんとの間で意見交換を行う大変良い機会であることから、有意義な成果が得られることを念願する」と述べ、あいさつを結んだ。
 一方、鈴木会長は、まず、今月11日に行われた参議院議員選挙の結果について「民主党が敗北し、自民党が改選第1党に復活したことにより、今後の社会資本整備の方針や公共事業予算の編成、また関連する行政施策についても『これまで通りには行かないぞ』という状況が生まれたことを大変喜んでいる」と弁。
 それらの状況の中で、この日の意見交換会で取り上げた『直轄工事の受注機会確保』についてのテーマに言及した氏は、「これまでも繰り返し、この『確保・拡大』を訴えてきたが、県内で発注される国関係工事の県内企業に対する受注機会は、依然として低迷している」との現状を指摘するとともに、「後日、改めて関係出先機関を訪問し、県内企業の厳しい状況を説明して回ることも計画している」と付け加えた。
 また、意見交換会に先立ち、菊川局長に対して「受注機会確保」についての要望書を手渡したことを報告した氏は、「この意見交換の中では、具体的な数字を添えて最初のテーマとして取り上げることになっているので、入札契約や施工上の課題などの具体的な課題に対する所見を含めて、整備局各位の回答を頂きたい」と要望。
 これらを踏まえて氏は、「私ども建設業協会としては、地方経済と雇用を支える基幹産業として一刻も早く現在の苦境を乗り越え、今後の活路を切り開くための方策を見出すためにも、皆さんの協力が不可欠である」との考えを示すとともに、「そうした意味からも、各事項に対する踏み込んだ所見を伺いたいと念願する」と述べ、あいさつとした。

提供:日刊建設タイムズ