北海道建設新聞社
2010/07/13
【北海道】本業重視で新分野進出は2割切る−道の建設業経営調査
道の建設部と経済部は12日、2009年度に実施した建設業の経営に関するアンケート調査結果を公表した。回答企業のほぼ半数が、最も重視する経営戦略を「建設業本体の体質強化」と回答。「新分野進出・経営多角化」など新たな事業の展開を柱にするのは2割に満たない。厳しい経営環境に直面する建設部門での取り組みには、約7割が「経費の削減」を挙げる一方、「得意分野への専門化」「社員の資格取得促進」「新技術等の開発・導入」といった回答が08年度調査よりも増えている。
道では、道内建設業の実態や意識の把握などを目的に、03年度からアンケート調査を実施している。今回の調査は、09年度に経営事項審査を申請した8580社を対象に、1246社から回答を得た。回答企業の業種は、土木が52.2%、建築35.6%、その他が37.3%という割合。
今回は、公共工事と民間工事での受注額の変動状況を新たに調査。公共、民間とも半数近くが1年前に比べ受注額が「減少」と回答したものの、公共工事では「増加」という回答が23.6%に上っている。民間工事でも18.4%が「増加」と回答した。
最も重視する経営戦略は、49.4%が「建設業本体の体質強化」と回答。08年度調査より6.9ポイント増え、初めて調査項目に入れた06年度に比べても6.6ポイント高い。一方、「新分野進出・経営多角化」と「異業種への事業転換」を重視する企業は、合わせて16.8%にとどまり、08年度より1.7ポイント下がった。「経営戦略を検討中」が19%、「経営戦略を持っていない」が8.6%で、ともに08年度より減り、本業重視を鮮明に打ち出す企業が増えている。
建設業部門での取り組みは「経費の削減」が67.6%、「民間需要の開拓」が37.6%と多い。「得意分野への専門化」29.3%、「社員の資格取得促進」27.9%、「新技術等の開発・導入」11%などの回答は08年度よりも増えた。
新分野については、21.7%が「既に進出」と回答し、08年度より1.4ポイント上昇。これら進出企業のうち、新分野の収支が「黒字」なのは29.3%、一方で14.8%は「見込みなし」と答えている。
雇用状況に関して、従業員の過不足感では「不足」(14.7%)が、「過剰」(11.4%)を上回った。調査を始めた03年度に比べ「不足」は4.4ポイント増、「過剰」4.1ポイント減となった。