合併模索を進める県内建設業者を対象に県は25日、「合併等検討セミナー」を開催した。当日は山梨県内に本店がある建設業経営者らが出席。
講師には、建設経営サービスの石井修一氏と山下宏道氏が、主に本業(建設業)の競争力を高める道を選択した企業に対し、▽合併や事業譲渡の企業再編手法▽メリット・デメリット▽成功事例−などを分かりやすく説明した。
このうち、企業再編手法(合併)のメリットは、▽スケールメリットの享受▽事業拡大▽経営の効率化▽新たな経営資源やノウハウ獲得▽事業承継問題の解決▽包括承継のため個別手続きが不要▽入札参加に置ける支援策の適用−。一方、デメリットは▽薄外債務の引き継ぎリスク▽組織の肥大化▽企業文化の違いへの抵抗や摩擦−を挙げた。
石井氏は、「一般競争入札により、経営基盤と競争力がある勝ち組企業が出てきた。だが、その企業も建設投資の縮小、入札契約制度改革などで建設業の経営環境は大きく変化し、今や建設業は構造不況業種の代表格に挙げられている」と続けた。
また、県内の建設業界の現状把握については、県発注工事の県内受注企業上位50社の実態を示し、「老舗企業が多い」、「1級技術者の割合が高い」、「経審Y評点も平均以上の企業が多い(700点以上)」という特徴を挙げた。
建設業界の現状把握として、山梨県の公共工事における一般競争入札の拡大について説明。▽平成5年に一般競争入札の試行▽同8年に5億円以上の工事で本格実施▽同10年に対象を3億円以上の工事▽同17年に3億円以上のすべて(1億円〜3億円の一部拡大)▽同18年に1億円以上のすべて(3000万円〜1億円の一部拡大)▽同19年に3000万円以上のすべて(1000万円〜3000万円の一部拡大)▽同20年に対象を1000万円以上の全ての工事拡大−少しずつ変化していると述べた。
その後、受講者は、自社の経営力と技術力を振り返るため、自社の強みと弱みを自己診断(経営力や技術力)した。Aゾーン(単独でも成長が見込める)、Bゾーン(経営管理に課題がある)、Cゾーン(技術力が備われば成長企業になる)、Dゾーン(単独での存続が難しい)など大きく4つに分類し、自社がどのポジションにあるのかを自ら記入した。
両氏は、「建設企業として生き抜くためには競争力を高めることが不可欠。企業力向上のためには、売り上げ増加、生産性向上、コストダウンなどの要因が考えられるが、どの要因で勝負するのかは経営者の判断次第。選択した要因によっては「再編」を選択した方が効果が大きい場合がある」と話す。
建設産業の現状は、市場規模の縮小により、厳しい経営環境に直面している。県では生き残り手段のひとつとして、合併による企業力アップを推進しているが、自社がどのように進んでいくのかを見極めることが重要だ。
提供:山梨建設新聞