県海匝地域整備センター銚子整備事務所管内における「2010年度銚子地区水防訓練」が、銚子整備事務所の水防倉庫前で行われ、同事務所をはじめ銚子市役所(地域協働課及び土木課)職員、(社)千葉県建設業協会銚子支部会員、NPO防災千葉ら総勢50人余が参加した。
この水防訓練は、水害時における公共土木施設の機能確保のため、円滑な水防活動が行えるよう訓練し、必要時において迅速かつ的確に対応することを目的としたもの。
訓練に先立ち湯浅敏・銚子整備事務所長は、水防について「出水時に際して自助・共助の精神に基づき、水防団体・行政機関・地域住民・企業等が一体となって被害の軽減と未然の防止を図り、尊い人命と財産を守るうえで欠かせない重要な使命を担うもの」との認識を示したうえで、水防訓練については「平素からの水防意識の高揚に加え、技術の向上を図るとともに、有効・適切かつ効率的に水防活動が展開されることが目的」と弁。
また、この日の訓練内容として「水防工法の基本の一つで、積土のう工法の改良型と言われる『改良積土のう工法』と『月の輪工法』を取り入れた」と説明した氏は、「今後の水防活動に向けて意義あるものになる」との考えを示し、あいさつとした。
次いで、業界を代表して県建設業協会の岡田知益・銚子支部長は、九州方面南部で大雨による水害が発生したことに言及したうえで、「幸いにして銚子方面は、非常に自然災害に強いと言われているが、油断は大敵である。いざと言う時に備えて、これらの水防訓練は大変重要なことから、本日は怪我のないように訓練に励んでほしい」と述べ、あいさつに代えた。
この後の水防訓練作業では、銚子整備事務所の湯浅所長を訓練現地指導班長、田村芳信次長を同副班長、野元文義主幹を総括班長とし、訓練実施班員を3班に編成。
訓練想定は「大型台風が関東地方に接近中であり、千葉県北東部に大雨洪水警報が発令。昨日からの降雨により、銚子市唐子町地先の清水川において越水が予想される」というもの。
各班は、野元総括班長による「水防訓練準備作業『土のう作り』開始」の号令に従い、準備工法として、土のう計500袋を作成。各班長が土のう作り作業の終了を報告後、引き続き越水防止を目的とした「改良積土のう工訓練開始」の号令のもとに作業に着手し、表土のう(10列3段+中段1個)、裏土のう(10列2段+上段1個)、両側止(2列2段×両側)、鋼杭(長さ1.2m)、防水シートによる延長6mの「改良積土のう工」を3か所に設置。さらに、実演を交えながら、越水時を想定した「月の輪工法」を完成させた。
作業終了後には、湯浅訓練現地指導班長ら統監部が「改良積土のう工」及び「月の輪工法」を巡閲して出来映えを確認し、全員が作業開始前の隊列に整列。
訓練結果の講評として湯浅訓練現地指導班長は、「初めて試みる工法にチャレンジした割には、非常に良い出来映えだった」と述べたうえで、「支部班長の指導が手際よく、班員の力強い活動が印象的であり、この経験を活かした今後の水防活動が、意義あるものになると確信している」と総括し、約2時間に及ぶ水防訓練を終えた。
提供:日刊建設タイムズ