北海道建設新聞社
2010/06/24
【北海道】道内企業の海外進出、2年連続で減少−景気悪化で
中国など海外に進出し、事業展開している道内企業の数は、2009年度末時点で114社となり、08年度末より13社少なっていることが、日本貿易振興機構北海道貿易情報センター(ジェトロ北海道)の調査で明らかになった。企業数が前年度を下回るのは2年連続。リーマンショックの影響が長引き、事業を縮小せざるを得ない企業の厳しい経営状況がうかがえる。
ことし1―3月に道内企業2000社を対象に調査し、396社から回答を得た。
海外進出している114社の業種別内訳は、製造業が39社、卸・小売業が41社、貿易商社が8社、建設・不動産、金融を含むその他業種が26社。
進出企業の89%に当たる102社は、資本金が3億円以下の中小企業。本社所在地は札幌市が62社、旭川市が14社、千歳市が5社、函館市が4社、苫小牧市が3社、湧別町、釧路市、室蘭市が各2社の順となっている。
08年度に比べ、卸・小売業は9社増加したが、製造業は3社、貿易商社は9社、その他業種は10社それぞれ減少。建設・不動産は5社減の8社にとどまった。
約7割の企業が「リーマンショックの影響がいまだ残っている」と回答。ジェトロ北海道では、景気悪化に伴い事業縮小が避けられない企業が増え、進出企業数が減少したとの見方を示している。
一方、企業の海外拠点総数は8カ所増の193カ所で、一つの企業が設ける拠点数は増えていることが分かった。企業数の減少に反して、製造業や卸・小売業を中心に進出した企業が事業展開を積極化する動きが広がっていることの表れ。国別では中国の97カ所、台湾の15カ所、米国の14カ所、ロシアの11カ所、タイの8カ所の順となった。
建設関連では、カナモト(本社・札幌)、生杉建設(同・千歳)が中国、勇建設(同・札幌)、西村組(同・湧別)がロシア、岩田地崎建設(同・札幌)が台湾にそれぞれ進出している。
今後3年以内に海外投資をしたいとする企業は25社で、うち10社が投資場所として中国を挙げた。このほか米国が3社、タイが2社だった。中国投資の理由は「コスト削減」で、米国は「研究開発の展開」との回答が目立った。しかし、大半の企業が新規拠点の開設には消極的で、既存体制の強化を目指している。
業務の最優先課題として企業が多く挙げたのは「新分野・新規事業の開発」「製品・サービスの高付加価値化」。ただ、進出先として注目を集める中国では、模倣被害に代表される知的財産権の侵害が問題化していて、この種の被害があったとする11社のうち9社が中国に進出していた。
ロシアの投資環境を問題視する指摘も多く、進出している12社すべてが関税や通関手続き、労働許可、財務管理面で懸案を抱えていると答えた。サハリン州を中心とするインフラ整備の需要増に期待が集まる半面、ロシア進出を目指す企業数は減少傾向にあるという。