行政改革の一環として県管財課は、県職員宿舎を計画的に廃止する方針を固めた。原則、人事政策上必要な物を除き、廃止により維持管理費用節減と、県有資産の有効活用を図っていく。
県の基本的な考え方として▽平成宿舎は確保▽昭和宿舎は3年間の猶予期間を設け、平成25年度までに全廃▽廃止宿舎用地は売却処分を進める−など、県庁舎の在り方を見直す。ただし、一部耐震補強やリニューアルをし、活用をすることになれば、解体しないことも有り得る。
仮に昭和宿舎を廃止した場合の20年間の維持管理コストは解体費を含めても、6億4400万円で、将来財政負担額を見直さない場合は33億2800万円となることを予想。現状維持の場合に比し、26億8400万円の削減効果が期待される。
今年度は、当初予算に解体事業費2970万円を予算化。RC造4階建て、延べ1204・08u規模の石和2号館(笛吹市石和町窪中島312−1)を第2四半期に工事発注。工期は約5カ月を見込み、年度内の完了を目指す。跡地利用は、石和1号・2号・3号館の解体までに考える。
昭和40年代に建設された昭和宿舎は、県内に▽中小河原▽東光寺▽石和1号館▽石和2号館▽石和3号館▽韮崎▽飯田1号館▽飯田2号館−など8施設がある(いずれもRC造4階建て)。
県によると、同宿舎は築後40年経過し、外壁の亀裂、雨漏り、漏水、漏電、ガス漏れなど、老朽化に伴う不具合が発生し、修繕には年間1700万円を要するという。
また、90%前後の高い入居率を維持しているが、最近では42%までに低下。警察待機宿舎として貸している分を除くと実質28%になる。県によるアンケートで低下理由は、民間施設の充実、道路交通網の発達−が挙げられた。
このほか、維持管理コストの増加も要因のひとつで、同舎の現状戸数を維持補修する場合、今後20年間のトータルコストが概算で10億1000万円。飯田と韮崎宿舎は耐震化のため、改修費は約6200万円が必要とされる。いずれ20年後には、築60年となる宿舎8棟を建て替えする。その場合は、建設費23億1800万円が掛かり、20年間の維持管理コストを合わせたトータルコストは33億2800万円にのぼる。
今後の職員宿舎の在り方について県は、これまでに若手職員及び入居者アンケート、各都道府県の状況調査をするなど、ワーキンググループを設置し、検討を進めている。
提供:山梨建設新聞