千葉県建設産業団体連合会(鈴木雅博会長)の2010年度通常総会が18日、千葉市内のホテルポートプラザちばで開かれ、09年度事業報告及び収支決算・監査報告のほか、10年度事業計画及び収支予算などを全会一致で可決。任期満了に伴う役員改選では、鈴木会長を再選した。
議案審議に先立ちあいさつした鈴木会長は、まず、建設産業界における昨年9月の民主党政権への移行後について、「コンクリートから人へのキャッチフレーズによる事業仕分けなどにより、経済対策は置き去りにされ、建設産業に対する施策は何一つ進展しない状況に陥っている」との厳しい現状を指摘したうえで、「幸いにも政権トップが入れ替わったことにより、一部には補正予算等の経済対策が検討されるのではとの憶測もある」と弁。
また、「一刻も早く地方経済と私ども中小建設産業が活性化される施策を打ち出してほしいと念願している」とした氏は、「それを促す意味からも来月の参院選挙では、建設産業を理解し、支援して頂ける政党と候補者が、大勢当選することが重要」との考えを示した。
一方、県建産連については、「工事業以外の団体も所属し、ともに活動する上での難しさのある組織であるが、共通する建設産業界全体の発展という目標の達成に向けて、国・県関係機関が発注する工事や業務の受注シェアを拡大させていくことは不可欠」とし、「県土整備部との意見交換会の場など、あらゆる機会をとらえて会員企業の受注確保が図られるよう、引き続き努力していくことが肝要」との認識を示すとともに、「総合評価落札方式などの入札・契約制度改革への対応とともに、新たな発想と展開による経営基盤の強化に自ら取り組まなければならない」と述べ、あいさつとした。
総会後に開かれた懇親会で鈴木会長は、新政権に対して改めて、「疲弊し続けている地方経済と中小企業の一刻も早い活性化が図られるよう、政府による本腰を入れた経済対策との取り組みを強く期待している」と述べるとともに、来賓に対しては「円滑な公共事業の施行が図られるよう、県内建設産業に対する一層のご指導ご支援を賜りたい」と要望。
引き続き、来賓を代表してあいさつした県県土整備部の橋場克司部長は、まず、今年度当初における県土整備部関連予算が1170億円規模だったことについて、「昨年度の自民党の政権時に大きな経済対策があり、補正とあわせて非常に大きな予算が生れた。経済対策を除いても、何とか前年度当初比4.2%減の1120億円が確保できた」とする一方、「経済対策分が非常に大きかったことから、皆さん方にはこれから非常に苦しい時期が来るのではと危惧する」と弁。
中でも、補助事業の落ち込みが激しく、直轄負担金も大幅に下がるなど直轄の仕事全体が少なくなっていることに言及した氏は、「それを何とかカバーしようと単独事業に力を入れ、前年当初比19%増とした」と補足。
他方、先日の公共事業予算における前原国交大臣の「削減の公約を達成したことから、来年度ではもう削減せず、少なくとも今年の予算額を確保する」という発言に言及した氏は、「それはそれとして朗報ではあるが、我々としては何とか上積みしてもらえるよう、皆さんの協力を得ながら概算要求に向けて頑張っていきたいと思う」との考えを示した。
引き続き、県発注工事の県内・県外業者の受注率について言及した氏は、「09年度では金額ベースで72.2%を県内業者の皆さんに受注して頂いた。同じく08年が71.1%、07年が71.4%で、06年度の65.6%からみると、かなり改善されてきたと思う」とし、「今後も、少なくともこの程度の数字は確保し、皆さん方に仕事をして頂くとともに、直轄工事についても、千葉県内の工事は県内業者が施工できるよう、直轄に話をしていきたい」と述べ、祝辞に代えた。
提供:日刊建設タイムズ