県土木部において対象外としていた予定価格250万円以下の工事が公表対象となった。ことし4月1日からの電子入札の全面導入を機に、公表するよう5月31日付けで部内各課長と部内各出先機関長に通知されたものだが、その背景に、出先機関での混乱や業者の要望などがあった。
昨年度までは、予定価格1000万円以上の工事および100万円を超える業務委託を対象に電子入札を実施していたが、今年度からさらに対象範囲が拡大され、随意契約を除く全ての案件が電子入札の対象となった。
だが4月以降、250万円以下の案件については、入札予定だけ公表して結果は非公表とする出先機関や、はじめから非公表とする出先機関など、その対応がまちまちとなっていた。
背景には、県が従来から拠り所≠ニしてきた「茨城県公共工事の入札、契約の過程及び契約内容の公表に関する実施要領」(平成18年4月1日改正施行)の存在がある。
この実施要項によれば、公表対象は「予定金額が250万円を超える工事とする」とある。これを「250万円以下は公表する義務はない」と解釈し、250万円以下が積極的に公表されることはなかったのだ。
しかし、その一方で入札参加者からは情報開示を求める声があった。
また、検査指導課が予定価格を公表しているという他県を対象に行ったアンケート調査でも、半数以上が250万円未満でも公表しているという結果。
監理課では5月に検査指導課と協議し、実施要項を改正して要項を緩和したうえで、公表する考えでまとまった。だが、手続きで時間を置く必要がないと判断し、5月31日、通知のみの対応で早期実施に踏み切った。
今回の混乱は、4月から5月末にかけての約2カ月間の出来事。このまま放置されていたケースも考えれば、監理課と検査指導課の対応は早急なものだったと言える。しかし、電子入札の全面導入は、制度の最終段階として計画的に進められていたもので、事前に話し合う余地は十分にあったはずだ。
一方で、電子入札を全面導入したことで対象案件が増加し、出先機関からは「仕事が増えた」という不満も聞こえ始めている。出先機関と本課の密な連携がより求められている。
提供:日本工業経済新聞