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建通新聞社(静岡)
2010/06/21

【静岡】県=森山誠二交通基盤部長インタビュー 基盤整備は「協働」で

  2010年度に新設された静岡県交通基盤部の初代部長に森山誠二氏が就任した。構造物の整備に当たっては、機能面と共に景観などの美しさも重視し「風格のある県土づくり」を目指す。県内の建設業者に「県土を守るパートナー」と敬意を示しつつ、公共事業が減少する中で「建設業のノウハウを他分野でも発揮してほしい」と呼び掛ける。ここでは、就任間もない森山部長に事業展開の在り方などを聞いた。
【聞き手は、静岡支社報道部=上田浩史】

■本県が持つ交通基盤について、今後どのように強化していきますか。
 東名高速や東海道新幹線に加え、現在建設中の新東名高速道路など、静岡県は東西の交通網が非常に発達しています。「日本の背骨」と言っても過言ではありません。
 東京と名古屋の中間に位置する県として、単なる交通の通過点で終わらせるのではなく、本県の交通網のより一層の利用促進を図るべきです。本県交通のネックとなっている南北交通の強化が求められます。中部横断道や三遠南信道路などの建設に当たっては、産業振興の施策を視野に入れて整備する必要があります。
 本県は陸上交通だけでなく、清水港や御前崎港など国際的な港湾を有しています。昨年6月には富士山静岡空港も開港し、空のインフラも整備されました。本県の広域的な陸・海・空のインフラを効率的にネットワーク化し、産業活性化につなげたいと考えています。

■交通基盤部は、基盤整備の主な部分を受け持つことになります。部長として、どのような事業展開を考えていますか。
 構造物の建設など、人の目に見えるインフラ整備は交通基盤部が受け持つことになります。安全・安心・便利という機能性を重視することはもちろん、見た目の美しさなど景観面にも配慮した「風格のある県土づくり」を目指します。
 われわれが受け持つ基盤整備の上に、県民の生活や観光・産業振興などの施策が成り立っているので、庁内の他部局と連携を密にしつつ事業を進めていきます。
 本県は富士山や浜名湖、伊豆をはじめ、多くの観光資源に恵まれています。このような豊かな観光資源を最大限に生かすためには、従前にも増して、質の高い交通基盤をつくるべきです。
 基盤整備に当たっては、これまで同様に、地元住民との合意形成を重視しつつ、「協働」作業を推進しています。県道や中小河川などの整備に当たっては、地域の皆さんに理解を得られるよう、今後とも、各段階で事業の目的や効果などを速やかに説明していきたいと考えます。

■公共事業を取り巻く環境が変わり、ものづくりを担う建設業者は厳しい状況に置かれていますが。
 どの時代でも、建設業が「なくてはならない存在」であることは言うまでもありません。地震などの災害発生時には復旧作業に尽力していただいており、「県土を守るパートナー」としてご活躍を期待しています。
 一方で、事業量がピーク時の約半分に落ち込んでいる現状です。公共事業の今後を見通しても、建設業の皆さんの厳しさは想像できます。もちろん、必要な社会資本整備は県内にもまだまだ残されており、事業着手に向け予算確保に努めていきます。ただ、厳しい財政状況の下で、従前のような公共事業への手厚い予算配分は難しいと言わざるを得ません。
 したがって、建設業の皆さまには市場規模の縮小に対応した身の丈に合った経営も必要になってくると思います。
 そういう中、建設業は、「建設産業」であります。各分野を調整する商社的な能力も持ち合わせていると思います。その調整能力を建設とは別の分野、または環境ビジネスなど建設から派生した分野でも発揮していただければと思います。

■入札契約制度の取り組みについては。
 入札方法の改善として、総合評価落札方式の実施件数を10年度から拡大実施しています。目標件数として、予定価格1000万円以上の工事発注件数のうち、約20%に当たる300件の実施を見込んでいます。
 県内建設業者の方々には「技術と経営に優れた企業」であってほしいのですが、総合評価方式によって技術力の適応性が問われます。国と比べて、総合評価方式の実施が浸透しているわけではありませんが、県内の実情に合わせて、一歩ずつ着実に取り組んでいきます。 


【森山誠二氏(もりやま・せいじ)】
 1962年(昭和37年)11月5日生まれの47歳。岡山県出身。86年建設省(中部地建道路部道路計画第一課)に入省し、以後は中国地建や本省で道路計画・企画などに携わる。
 2002年に関東地整高崎河川国道事務所長、04年に道路局ITS推進室企画専門官、06年に内閣官房再チャレンジ担当室企画官、08年に内閣府国民生活局消費者安全課企画官を経て現職。
 前任地と福岡と比べて、初赴任となる本県の印象は「温暖な気候や豊かな自然資源に恵まれ穏やか」。中国地建の勤務が長かったこともあり、プロ野球は広島東洋カープのファン。

建通新聞社 静岡支社