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建通新聞社(静岡)
2010/06/04

【静岡】全建副会長に就任、伊藤孝県建協会長に聞く

 静岡県建設業協会の伊藤孝会長は、全国建設業協会(全建、淺沼健一会長)の副会長に就任した。静岡県からの副会長は初めて。伊藤会長は「全建の役に立つということは、全国の建設業者の役に立つということ」と受け止め、「『静岡発』の施策を実現してみたい」と話す。また、今後の公共投資政策の必要性を訴えるとともに、それに応じて建設業の進むべき道を自ら見出すことが「『建設業が必要です』という中身だ」と語る。中央建設業審議会への小野徹静岡県中小建設業協会長の参画に続き、「静岡発」の地方中小建設業の声を中央に届けるチャンスともいえ、今後の活躍が期待される。(聞き手は報道部=名倉啓司)

 −−副会長就任の感想を聞かせてください。
 「全建の労働・経営関係に委員会で活躍された二宮(睦治)前会長はじめ、諸先輩方が過去におやりになられてきたことについて、全建の中でも静岡県があらためて評価されたということだと思う。しかし、自分には重い役職。この任をまっとうできるだろうかという不安もあるが、受けたからには立ち向かっていかなくてはならない。自分自身のレベルアップに努めなければならない。挑戦させていただけることはありがたいことだ」
 −−どのようなことに取り組みたいと考えていますか。

全建の考え方学びたい

 「1期2年の任期中に、何か『静岡発』という施策を実現してみたいが、まずは淺沼会長をサポートしながら、全建の考え方を学びたい。全建の役に立つということは、全国の建設業者の役に立つということであり、それが何かをしっかり見極め、早く打ち出せるようにしたい」
 −−公共事業の削減が続く中で、やはり予算の増額を求めたいところですが。
 「国にその力がなくなっているときに、一方通行で増やしてくれということではいけない。まずは、地域の実情を踏まえた対応を求めたい。昨年度は緊急経済対策による補正予算で何とか頑張れたが、2010年度の公共事業予算は大きく削減された。この落差は大きい。少なくとも早期発注、切れ目ない平準化発注をしていただきたいと考えている」

「建設業は必要です」

 −−公共投資ということを今一度考える必要があるのではないでしょうか。
 「公共投資は世代間の資源配分である。少なくともわれわれが今持っている社会基盤、インフラのをより良いものにして将来の世代に渡してやること。自分の子孫に、負荷なく、このふるさと、この日本をバトンタッチしてあげないといけない。子々孫々のために今やらなくてはならない必要な公共投資政策が、われわれが共通認識として持つべき公共事業の在り方であり、建設産業政策になる。そうした考えを国も、都道府県、市町村も示すべきだ。そして、われわれ自身もなすべき道を探り、自助自立し工夫して、社会や地域に貢献できることとは何かを考える。それが『建設業は必要です』ということの中身になってくるのではないか」
 −−ダンピング問題など、入札・契約制度の課題は依然として解決していません。
 「法に従って真面目に一所懸命やっている建設業者が、優れた経営と技術を目指して真一文字に進む。そのような建設業者を評価すべきである。そうした建設業者が集まり、地域を守る、という建設業協会にしていかなくてはならない。そして、真冬も真夏も現場の最前線にいる人たちが日の当たるようにしたい。それは業界全体で考えなければならない。また、地域住民に良質な社会資本を提供するため、ダンピングをするような業者は排除すると、発注者がはっきりと態度で示さなければ根本的な解決にはならないだろう」
 −−この5月、静岡県の「ふじのくに3776友好公式訪問団」の第1陣として、中国に行かれました。どのような印象を受けましたか。
 「上海万博を見学して何より感じたことは、中国全体のエネルギー。ただ立っているだけでも勝手に前に押し出されていくような大きな力を感じた。われわれ日本人も40年前の大阪万博当時、同じようなエネルギーがあった。上海万博から当時の日本の姿を思い出し、同時に、日本は『もっと国をよくしていこう』という強い思いを今一度持つ必要があると反省した」

提供/建通新聞静岡支社