杉戸町は、年度内に中央幼稚園管理棟・遊戯棟改築工事を予定、意匠設計は建築課で取り組むことにした。建築課では「新築物件の設計を直営で仕上げるのは初めて。県内の同規模他自治体でもそれほど例がないのではないか。これまでのノウハウを活かしながら仕上げたい」と意気込んでいる。専門的な構造および設備の設計については、それぞれ発注済み。
昨年7月に就任した古谷町長が、マニフェストに掲げていた「職員の意識改革の実施」の一環で職員提案を募った。建築課では、建築物の意匠設計を直営でまとめることについて@費用を抑えることA職員育成−−を目的に提案、採用された。当然、業務量は増えるが「直営対応の方が、現場管理する際にも効率的」(同課)。また、新園舎の規模が平屋、床面積500u程度と、初弾案件として取り掛かりやすいことも理由のひとつで「できるものは自ら手掛けたい」(同課)という意向もあった。
中央幼稚園はもともと、21年度に応急耐震化工事を予定し補強設計まで進めていたが、概算工事費が約3000万円と見込まれたため、費用対効果を考慮し建て替えに切り替えた。建て替えにあたっては、意匠設計は予算要求を行わず、構造と設備分の設計費323万6000円の計上に止めた。また、監理で105万7000円を確保したが、委託するか直営対応とするかは、今後の状況に応じて柔軟に対応する構え。
18日に開札した泉保育園舎の改築に向けた設計でも、構造と設備のみ委託。通常は、意匠設計の中に構造・設備が含まれており、応札した一部の参加者からは「新しい取り組みだ」と評価されたという。なお、意匠設計(実施設計)を委託するかどうかについては、現在検討中。
町では過去にも、幼稚園・保育園の耐震精密診断を直営で手掛けており、積極的に直営での作業を進めている。厳しい財政状況であることは他自治体も変わらないだけに、今回の取り組みが契機となって流れが変わっていくのか注目される。
提供:埼玉建設新聞