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建設経済新聞社
2010/05/14

【滋賀】東近江市 病院等整備計画(案) 滋賀病院を増床 「中核」に 能登川は改修、蒲生は建替

 東近江市はこのほど、東近江市病院等整備計画(案)を作成した。医師不足が深刻な市内3病院を再編・集約化する具体策を示したもので、国立病院機構滋賀病院を増床し「中核病院」として整備。能登川・蒲生の市立2病院は病床数を削減して中核病院を支援する施設とする。中核病院は22年度に設計、23年度から建設工事。能登川病院は24年度に設計、25年度に改修工事。蒲生病院は24年度に設計、25年度に建替工事がそれぞれ考えられている。
 再編成するのは▽国立病院機構滋賀病院(東近江市五智町255)▽市立能登川病院(東近江市猪子町191)▽市立蒲生病院(東近江市桜川西町340)−。東近江医療圏内の中核病院『(仮称)東近江総合医療センター』を整備する。中核病院では急性期医療を中心に展開。特に現在、東近江市で不足している救急医療等の分野を充実させ、幅広い疾患に対応が可能な体制を構築する。中核病院に滋賀医科大学寄附講座による総合医療研修のセンターを設置。職員宿舎や院内保育所も整備する。市立能登川病院および市立蒲生病院は中核病院をはじめとした急性期医療機関を後方支援する医療機関とする。
 現国立病院機構滋賀病院(220床)を増床。中核病院として320床(一般300床、結核20床)の整備を行う。病床数の減少を伴う現市立能登川病院(120床)は60床、現市立蒲生病院(120床)については60床もしくは無床診療所を想定。中核病院の機能が稼動後、中核病院および蒲生病院の医師数や診療体制、患者の受療動向の調査結果を踏まえ、中核病院の診療体制が確立したとき、最良な体制へ移行する。経営形態は、中核病院(市立部分)は国立病院機構滋賀病院を指定管理者とする。能登川病院・蒲生病院は現行通り。
 施設整備にあたり、国立病院機構滋賀病院の現地にて整備を行う中核病院は、増床に伴い▽増床分の病棟整備▽増床に合わせた供給部門の規模拡大▽手術室数の増室▽スタッフ増員に合わせた管理部門スペースの拡大▽滋賀医科大学による総合医療研修のセンター施設▽既存施設の耐震補強−等の増築・改修が必要としている。
 能登川病院は、既存施設が平成7年に建設され、残存簿価も起債の残額も大きいため、既存施設の部分改修工事の対応が望ましいとしている。整備概要は▽耐震化補強▽回復期リハビリテーションスペースの拡充▽病棟療養環境整備−等。整備は現在地にて行う。
 蒲生病院は、既存施設が昭和49年に建設されたものであり、部分的な増築および改修工事は実施してきたが、施設の老朽化が著しく、耐震基準も満たしていないため、建替が必要とした。整備場所は現在地。
 3病院における整備手法は、中核病院(市立部分)は国立病院機構と基本協定の締結を行い、協議の中で検討。能登川病院・蒲生病院は中核病院の診療体制等の充実後、市立病院の新診療体制への移行が確定するときに最も効率的な整備手法を検討する。
 現国立病院機構滋賀病院の改築や現能登川病院の改修および現蒲生病院の建替には多額の費用が必要であり、過剰・過大な設備投資をさけ、現施設の有効利用も検討したうえで、持続可能な健全経営ができる整備内容にすることが望ましい。また、改築や建替等に係る財源については、総務省・厚生労働省・滋賀県等と綿密な協議を行い、国庫補助金・交付金・合併特例債等の財源を積極的に活用し、将来的な市の一般会計や病院事業会計の財源負担への配慮が必要としている。
 今後、パブリックコメント・住民説明会などを経て、東近江市病院等整備計画を策定する。従来の起債方式による整備スケジュールは、中核病院は平成22年度に設計業者選定、基本設計開始(6ヵ月間)、実施設計開始(8ヵ月間)(設計期間は建物規模により変動)。23年度に工事発注、建設着工(工期未定。建物規模により変動)。24年度の完成予定。能登川病院は24年度に改修設計、25年度に改修工事。蒲生病院は24年度に基本設計・実施設計、25年度に建替工事となる。現時点では未確定事項が多く、設計期間、建築期間ともに仮定のものとなっている。
 中核病院は25年度に開院。能登川病院・蒲生病院は25年度に新施設として診療開始。中核病院の増床分の100床は市立2病院の病床数の削減をもって充てる。