財務省は、政府が6月の取りまとめを目指す「新成長戦略」に国有財産の有効活用策を盛り込むための検討を本格化させる。未利用国有地の処分を売却優先から貸し付けに切り替えたり、庁舎と宿舎の移転・再配置計画も見直して未利用地・スペースを洗い出すことなどを想定しており、今後、民間の意見を取り入れて有効活用の在り方やスキーム、規模・スケジュールなどを具体化する。これに伴い、きょう12日に民間有識者などから初のヒアリングを行う。
2009年12月に閣議決定した新成長戦略の基本方針は▽保育の多様化と量的拡大▽介護サービスの基盤強化▽地域再生▽都市再生▽社会資本ストックの戦略的維持▽緑の都市化―といった施策の方向性を掲げている。6月の取りまとめでは、これらを肉付けするとともに、実施時期や成果目標を「実行計画」(工程表)として示すことになっている。
財務省は新成長戦略の施策展開の中で、国有財産を地域・社会のニーズに応じて積極的に活用し、民間主導の経済成長を後押しする構え。
有効活用策のうち、未利用国有地の処分を売却から貸し付けに切り替えることについて、財務省は「東京の都心部の土地は安く売るよりも、民間企業に貸して収益を上げる方が財政収入の観点からプラス」(大串博志財務大臣政務官)などと考えている。
また、未利用地・未利用スペースの洗い出しは、特別会計に所属する財産を含めた監査の強化で進める。これに関連して、全国で954カ所・382fに及ぶ処分可能な土地を捻出するとした、庁舎と宿舎の移転・再配置計画(07年6月)を見直す。
庁舎・宿舎の空きスペースを社会福祉法人や民間医療団体などに貸して、保育・医療・介護といった施設を配置したり、宿舎の建て替え時にPFI手法でそれらの施設を併設させることなども想定。独立行政法人などが保有する土地についても有効活用を図るように関係方面へ働き掛ける。
民間有識者からのヒアリングは5月中に2〜3回行う予定。きょう12日のヒアリングには▽奥田かつ枝氏(不動産鑑定士)▽川口有一郎氏(早稲田大学大学院教授)▽みずほ信託銀行―が出席する。
これに加え、財務省は国有財産の有効活用に関する一般からの意見も5月31日まで受け付けている。
提供:建通新聞社 首都圏本部東京支社