静岡県は、2010年度から予定価格1000万円以上の建設関連業務委託を対象に、低入札価格調査制度を試行する。さらに、測量以外の建設関連業務に限定する形で総合評価方式を導入する。300件の実施を計画している建設工事の総合評価方式では、簡易型Uの採用を拡大することで、小規模工事で施工品質の確保に努める。これは、12日に静岡市駿河区のグランシップで開かれた「静岡県の入札契約制度等説明会」(建通新聞社主催)の中で示された。同様の説明会を、きょう12日に三島市民文化会館(三島市一番町)で、14日には可美公園総合センター(浜松市南区)で開く。
建通新聞社では、静岡県などの協力を得て、毎年、県下3会場で入札契約制度説明会を開いている。初弾となる12日には約270人が受講。会場で配布されたテキストを手に、参加者は経営・受注戦略を立てる上で欠かせない情報を吸収した。
県の建設関連業務委託の入札では、予定価格を50%以上も割り込むような低価格での落札が一部で発生。そこで、予定価格1000万円以上の案件で低入札価格調査制度を導入・試行する。
基準価格の算定方法は、国土交通省の算定式に準拠。基準価格以下の価格で応札した場合、業務の適正な履行を確保するため、落札者の負担による「第三者による照査」の実施を義務付ける。
県交通基盤部技術管理課の有ケ谷裕一積算班長は、「工事と同様に業務委託でも『低入札価格調査マニュアル』を活用する。適正履行により品質を維持するため、マニュアルに沿って厳格に調査する」方針を示した。
また、測量以外の建設関連業務では総合評価方式を試行する。調査・設計などの品質確保とともに、「価格と品質が総合的に優れた内容の契約を推進する」(県交通基盤部政策監付平田喜則主査)ことが狙い。
評価テーマの技術提案と当該業務の実施方針を求め価格との総合評価を行う標準型と、実施方針と価格とを評価する簡易型の2タイプを運用する計画。実施予定件数などは未定。
《「総合評価=300件の実施を計画」》
建設工事では、10年度から総合評価方式を拡大実施する。目標件数として、予定価格1000万円以上の工事発注件数のうち、約20%に当たる300件(うち交通基盤部280件)を見込む。
県建設技術監理センターの保竹真幸主査は「10年度から簡易型Uを拡大し(件数は未定)、事務手続きや評価を簡略化する」点などの変更点を挙げた。さらに、実績評価項目の一つである表彰の対象期間を拡大し、「評価項目間のバランスを改善する」方針を示した。
県経営管理部営繕企画課の柳敏幸技監兼課長代理は、営繕工事の総合評価方式の運用方法を解説。技術提案時に「『〜を原則とする』『できるだけ〜』など、あいまいな表現の提案は評価できない」と指摘した上で、「時間帯や数量などを具体的に示して技術提案してほしい」と呼び掛けた。
県交通基盤部建設業課の幸田良隆主査は、制限付き一般競争の実施方針などを説明。10年度から設計価格1000万円以上の工事案件で原則、制限付き一般競争入札を全面実施する。件数が大幅に増加することで、資格審査における発注者側の負担を軽減するため、入札後審査方式による発注が中心となる。
このほか、交通基盤部技術管理課の村松弥寿久OA効率化副班長が「電子入札等CALS/EC」、経済産業部商工金融課の青島純主査が「建設業で活用できる助成・支援制度」、静岡市財政局契約課の大村吉隆副主幹が「静岡市の総合評価落札方式」について、それぞれ説明した。
建通新聞社 静岡支社