(社)千葉県建設業協会の主催、東日本建設業保証鰍フ協賛による「2010年度新入社員研修会」が12日、千葉市内の県建設業センターで始まった。同協会員企業の新入社員36人・22社(前年は19人・13社)が参加し、14日までの3日間で延べ20時間余の研修を受ける。研修の目的は、@社会人に求められる意識と行動の理解Aプロとして求められる具体的な行動の実践的把握B同じ年代の参加者との情報交換と今後の人脈のきっかけづくり――。
初日は開講に先立ち、同協会の蓑輪昇専務理事=写真右=が新入社員に向けてあいさつ。まず、建設業界が08年に米国の名門投資銀行のリーマン・ブラザーズの破綻による世界的な金融危機のあおりを受け、好調だったマンション需要の落ち込み、国・県の税収不足に伴う公共事業の削減などで大打撃を受けたことや、その最中(昨年夏)に衆議院選挙で自民党から民主党に政権が代わり、「コンクリートから人へ」のスローガンのもと、事業仕分けにより基盤整備事業が大幅に切り捨てられることになったことなどに言及。
また、現在建設業に携わる人が全就業人口の約1割(500〜550万人)と言われることについては、「これらの人々が希望を持って働いていくためには、我々が今整備しているインフラが日本の国力を高め、50年、100年先の孫子の時代まで、市民県民が快適に生活するための物であり、『自分はそんな仕事をしているのだ』という自尊心と、そこそこの待遇が最低限必要である」としたうえで、「そのためには政権が変わろうとも、景気が少々悪くても、『必要なものは造るんだ』という強い政治力、強い行政力が不可欠である」と主張。
さらに氏は建設業について、「これまでも地域の経済を支え、地域の雇用に大きく貢献し、これからも地域住民の安心・安全を守るという大きな役割がある」と述べたうえで、「大雨による災害時に最初に対応するのが建設業者であり、川が氾濫しそうな時は土のうを積み、補強作業をする。雪が降れば直ちに道路の除雪を行い、道路が凍ると予想される時は、真夜中でも凍結防止剤を撒きに出ていくという『建設業の使命』は、昔も今も少しも変わっていない」との見解を示した。
これらを踏まえて氏は、「大変な時代ではあるが、幸いにして、活力がある限りない可能性をもった皆さんが入社してくれた。こういう時代だからこそ、過去にとらわれない新しい発想で物事に挑戦して頂きたい。皆さんの色々な挑戦が、必ずや功を奏す時が来ると信じている。是非、挑戦という気持ちを持ち続けて頂きたい」と要請。。
最後に氏は、「一日も早く職場に馴染み、建設業の素晴らしさを実感されるとともに、将来の建設業を背負ってくれることを期待している」と述べ、あいさつを結んだ。
引き続き研修では、鰍lISインターナショナルの木本比路美インストラクター=写真左=を講師に、昼食を挟んで6時間半にわたり「社会人としての心構え・マナー等について」の講義を受講。また、第2日目も終日、同講義を7時間受講した。
最終日には阿部・式田両副会長との座談会も
最終日は、建設コンサルタントの近山頼仁氏による「建設業とは」、県県土整備部建設業・契約室の岩田亮主事による「建設業法などについて」、建災防千葉県支部の萩原寛司専務理事による「労働安全について」の各講義のほか、同協会の阿部典義、式田秀穂両副会長が、「=建設業界に迎えて=諸君の疑問に答えます」をテーマに、新入社員との座談会を行う。
さらに、今回から同研修会の最後には、修了者一人ひとりに対して、修了証書の交付を予定している。
講義のうち、「社会人としての心構え・マナー等について」の研修カリキュラムは、初日がオリエンテーション(自己紹介、研修の目的等)、新人としての基本的心構え(プロとしての自己管理と重要性、職場におけるチームワークの大切さ)、社会人としてのマナーの把握(第一印象の大切さ、好感を伝える挨拶・身だしなみ・態度)、コミュニケーションの重要性(敬意表現・肯定メッセージ、傾聴トレーニング)を学んだ。
また、2日目は、一日目の振り返りに始まり、仕事の受け方(報告・連絡・相談の重要性)、ビジネス文書ABC(社外文書の心得、封筒の表書き)、電話応対の基本(電話の特徴、電話をかける・受ける時のポイント、苦情に対する対応、ケーススタディ)、来客応対と訪問のマナー(基本的心構え、名刺の授受・上座・下座)、円滑な職場の人間関係に向けてなどを学び、最後に、今後に向けた自己啓発や目標設定を発表する。
研修初日のオリエンテーションで木本講師は、この研修への取り組みとして、「テキストに載っていることは当たり前のことなので、テキスト以外のことを皆さんに伝えていこうと思う。とにかく『格好つけないで覚えていこう』と思うように、前向きになってもらいたい。ここで沢山恥をかいてもらい、現場では恥をかかないでほしい。ここでかいた恥は何ら恥ずかしくない。とにかく3年間は、どんなにきつい仕事でも、どんなに辛くても頑張ってもらいたい。この研修の前にこれまでのことをリセットし、一から始めることで、周りの評価はまったく違ってくると思う。休憩時間でもどんどん質問してもらえば、研修は皆さんのものになる。そういう意味で自分を開き、自分の中で勇気を持って取り組んでほしい」と要請した。
提供:日刊建設タイムズ