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北海道建設新聞社
2010/03/23

【北海道】道建協と傘下の5建協、一般社団法人に移行へ

 北海道建設業協会をはじめ「社団法人」の法人格を有する札幌、函館、室蘭、空知、旭川の建設業協会が、公益法人制度改革により「一般社団法人」への移行方針を決めた。移行時期は各建協が判断するが、その中でも札幌建協がトップとなる2010年度中の認可を目指し、19日の通常総会(3月期)で会員の合意を得る機関決定をした。本道を代表する6建協が「一般社団法人」を選択したことで、後に続く業界団体が「公益社団法人」に乗り換えるのは極めて難しい現状をうかがわせる。
 公益法人制度改革により、社団法人・財団法人は08年12月から5年の間に、公益的な活動が顕著な「公益社団法人・公益財団法人」もしくは、「一般社団法人・一般財団法人」を選び、移行する必要がある。
 移行前の社団法人・財団法人は法令上「特例民法法人」の扱いとなり、5年後の13年11月まで移行しなければ解散したものとみなされる。その場合、所有財産は没収され、他の公益法人に寄付される。
 19日の通常総会で「一般社団法人」に機関決定した札幌建協は、10年度中の移行に向けて手続きを開始する。監督官庁の道と事前協議を進めた上で、本申請を行う。申請内容は北海道公益認定等審議会に諮問し、答申を受ける。申請から答申までは平均半年だが、事前協議を含めると1年近くを要するという。
 このほか11年度中の移行を目指すのは道建協と旭川建協で、室蘭建協も同年度内を見込む。移行時期は固めていないが、空知建協はすでに機関決定し、函館建協は4月の通常総会で承認を求める。
 移行の際の最大の問題は、建設会館など所有する建物や土地、預金などの正味財産が大きい場合で、移行後に算定額をゼロにしていく必要がある。財産処分と違い、作成する「公益目的支出計画」に応じて、公益性があると認められる支出に相当する金額を割り当てる手法で最終的にゼロにする。
 ある地方建協の幹部は「あらかじめ創業記念の支出や修繕積立金などを算定額から引き、移行時点での金額を安くしたいのが本音。しかし公益的な支出と認められるかは難しい」と語る。金額をゼロにする計画が終了しない限り、道による監査が継続する。
 税制優遇としては会費が非課税で、課税対象は収益事業の所得に対し、法人税が30%(年800万円以内は18%)と公益法人と同じ扱いとなる。公益法人はさらに寄付金への優遇措置や源泉徴収なしなどの恩恵がある。
 法人制度改革が浮上した当初は、建設団体はこぞって公益法人への移行を模索したが、講習やイベントなどの事業活動のうち、5割以上は一般市民を対象とするというハードルが予想以上に高かった。
 しかも建設団体の法人は社団法人が大半を占め、学術、研究、指導色の強い関連団体が財団法人として存在する。一般社団法人への移行を決議した道内の建築団体は「財団法人と異なり、会員が主体の組織。無理に階段を上っても責任や義務が重くなる。公益法人にこだわるなら一般法人を取得してから期限内に移行する手段もあるが、まずは一般法人の関門が大きく立ちはだかる」と語る。
 道によると、所管の特例民法法人は現在約820法人。審議会はほぼ月に1回の割合で開くが、12日の答申で新たに認可される法人を含め、これまで新規、移行した法人は公益財団法人が11法人、公益社団法人1法人、一般社団法人3法人にすぎない。