建通新聞社四国
2010/03/12
【愛媛】低入札対策を柱に入・契制度を改定 県
愛媛県は、低入札対策や簡易型総合評価落札方式の見直しなどを柱とする入札・契約制度の改善策をまとめた。安易な低入札の防止に向けては、簡易型総合評価落札方式に「施工体制確認方式」を試行導入するとともに、低入札を繰り返す業者を一定期間、入札から排除する制度を創設。簡易型総合評価落札方式に関しては評価対象の一部も見直し、災害ボランティアや公共土木施設愛護事業(愛リバー、愛ビーチ、愛ロード)の実績など地域貢献度の項目を再編するほか、海岸施設年間維持工事の契約実績評価を始める。この改善案は10日の県建設業審議会で諮られた後、原案通り知事へ答申された。県は一部を除いて2010年度からの実施を目指す。
公共投資の減少や景気低迷などにより県発注工事でも低入札の増加傾向は続いており、県によると09年度は1月末までに入札が行われた2791件のうち218件で発生。率にすると08年度より2・3ポイント高い7・8%に上る。
県は近年、失格判断基準の導入などさまざまなな低入札対策を打ち、09年度は同基準と調査基準価格の見直しや最低制限価格制度の導入により低入札での契約こそ減らしたが、低入札そのものを防ぐ必要があるとして今回の対策を打ち出した。
施工体制確認方式の開始は、設計金額1億円以上の工事が4月1日公告分から、それ未満の工事が6月1日公告分からを予定。評価値の算定に当たって、現行では100点の基礎点を、80点の基礎点と20点満点の施工体制確認点に区分する。
配分する施工体制確認点は、入札参加者の提出資料をもとに「品質確保の実効性」と「施工体制確保の確実性」の視点から決める(表参照)。同様の評価方式は国土交通省や一部の地方公共団体らが導入しており、県は提出を求める資料を、同省に準ずるものを想定している。
低入札を繰り返す業者の排除は、6月1日公告分からの試行導入を予定。年度の各四半期末を基準日に、年度当初からの調査基準価格か最低基準価格を下回った入札をカウントし、3件以上であれば翌々月から3カ月間、入札に参加できなくする。
評価対象の見直しは4月から実施予定。地域貢献度の評価項目再編により、災害関連の評価では▽災害協定に基づく応急対策業務(過去5カ年度)▽災害ボランティア活動(過去5カ年度)▽災害協定に基づく訓練パトロールへの参加(過去2カ年度)─について、すべての実績があれば10点、いずれかの実績があれば5点を配分することになる。
年間維持工事などの評価は、09年度に道路、河川、砂防の各施設や冬季路面対策工事を対象として開始、過去2カ年度の契約実績などが2件以上なら10点、1件なら5点を与えている。今回はこれに海岸施設を追加するが、10年度分が初めての発注になるため、評価は11年度からになる。
今回はこれらのほか、現場代理人の取り扱いについても見直しを実施。開札日の前日以前より請負者と直接的な雇用関係にあることを条件化する一方で、区域が重複・隣接する年間維持工事間や、年間維持工事とその区域内の通常工事(1件のみ)の間などでは兼務を認めるという緩和制度も取り入れる。