北海道建設新聞社
2010/03/11
【北海道】下水、し尿の一括処理が加速か−コスト圧縮で市町村
道内の各市町村で、既存の下水処理施設にし尿処理機能を持たせるための整備が加速しそうだ。道は2010年度、北海道版・汚水処理共同化普及啓発プロジェクトを展開。セミナー開催などを通じて、下水とし尿の一括処理が、し尿処理施設を建て替えるよりもコスト的に有利であることを市町村に周知することを決めた。一括処理には、前処理施設や受け入れ施設の整備が必要で、道では「数年内に各地で一気に整備が進む可能性がある」(建設部都市環境課)と話している。
道内市町村が所有するし尿処理施設の多くは、築後30年から40年が経過し、老朽化による建て替えが課題となっている。しかし、大半の市町村は下水道が一定程度普及し、人口が減少していることなどから、ほかの事業に比べ優先度が低いし尿処理施設の建て替えには踏み切っていないのが実情だ。
このため道は、既存の下水処理施設にし尿の前処理施設と受け入れ施設を整備し、下水とし尿を一括処理することで、維持管理費を含むコストの大幅削減が図られることを、市町村の担当者に周知する方針を決定。道の試算では、人口1万人規模の町の場合、一括処理のための整備の方が、し尿処理施設を建て替えるよりも2億6000万円程度コストを削減でき、完成後の年間の維持管理費を、5分の1程度に圧縮できることが分かっている。
市町村に周知するためのセミナーは、建設部が中心となり開催するが、し尿処理行政にかかわる総合政策、環境生活、農政、水産林務の各部も連携して取り組む。セミナーは秋口に札幌市内で開催予定。市町村の担当者に一括処理の優位性を周知するほか、既に一括処理に取り組んでいる市町村の事例を示すなどして、早急な整備実施を促す。
建設部都市環境課によると、せたなと利尻の2町が一括処理に向けた施設整備を要望しており、この2町を除く52市町村が、今後の施設整備に関心を寄せている。