静岡県は2010年度から、設計価格1000万円以上の工事案件を対象に原則、制限付き一般競争入札を全面実施する方針を固めた。県議会2月定例会の代表質問で、衛門久明建設部長が明らかにした。小規模建設業者の受注機会の確保について、質問を受けた衛門部長は「施工可能な工事であれば、基本的に県内建設業者に対して発注する。一定の競争性を確保するため、本社など主たる営業所が所在する発注事務所管内ごとに入札参加を限定するなど、資格要件の適切な設定に努める」考えを示した。
県では過去数年にわたり、段階的に制限付き一般競争入札の実施件数を拡大。09年度には、設計価格1000万円以上5000万円未満の工事のうち、8割以上の件数で実施した。
その結果、制限付き一般競争を「基本的に条件を満たせば誰でも参加できる。手続きの客観性、透明性、競争性も高い」(静岡県)と評価。県内の中小建設業者の受注機会の確保につながる入札制度と位置付けている。
10年度には設計価格1000万円以上の工事案件で原則、制限付き一般競争入札を全面実施する。件数が大幅に増加することで、資格審査における発注者側の負担を軽減するため、入札後審査方式による発注が中心となる見通し。
一方、総合評価や方式や指名競争入札については、地域への精通度や貢献度を重視するなど、より中小建設業者に配慮して発注する方針だ。
衛門建設部長は、代表質問の中で「建設業は本県の重要な産業であり、県としても健全な育成に努めている」と前置きした上で、今後も「県内建設産業の大半を占める小規模建設業者の受注機会の確保に努める」と述べた。具体的には「高度な技術を要しない工事について、同種工事の実績要件を配置予定技術者に求めないこととする。小規模・小額工事では、現場代理人の常駐義務の緩和など対策を実施していく」方針をあらためて示した。
建通新聞社 静岡支社