国土交通省近畿地方整備局と同局管内の各府県土木施工管理技士会は23日、「近畿ブロック意見交換会」を大阪市内のホテルで開催。意見交換では、設計変更や電子納品の有効活用、受発注者間の協議の円滑化などについて、話し合われた。 冒頭、幹事の奈良県土木施工管理技士会の松本良三会長が、昨年の政権交代以降、国の施策で厳しい1年になることを懸念しながらも、「全産業の1割を占める基幹産業として社会の担い手を育成し、日々発展しつづけるため、魅力ある業界にしていく」と挨拶を述べた。 続いて国土交通省近畿地方整備局から上総周平局長が挨拶に立ち、「徹底した法令遵守の下、受発注者間のパートナーシップをしっかりと組んでいき、国民の安心・安全に努めていけるよう、本日は忌憚のない意見交換会としたい」と述べた。また社団法人全国土木施工管理技士会連合会の小林康昭会長が「土木施工管理技士が国家試験となってから40年間、CPDSなど技術を向上させるための取組を進め、昨今では総合評価で有効に活用されているなど成果を挙げてきた。技術者の育成として、今後、市町村の総合評価の評価項目にもCPDSを取り入れてもらいたい」と述べた。 次に意見交換の参考として全国土木施工管理技士会連合会が21年11月に集計した土木施工管理技士に関するアンケート結果を紹介。アンケート結果では「提出書類の簡素化」「設計図書と現場が一致しないで設計変更をせまられる」とする意見が多いことが報告された。 続いて公共工事の品質確保の推進として近畿地方整備局が22年度から本格導入される総価契約単価合意方式について解説。この方式を導入することで、設計変更額算定に用いる単価に受発注者間で合意した単価が用いられ、双務性が向上し、請負企業の技術的特性等が反映された額となる。新規工種の取扱いでは、官積算×100%の額が追加され、種別で新たに生じた場合には、官積算×合意比率によって単価が決められることとなる。さらに現在、試行段階の基幹技能者評価として、総合評価方式の標準T型で登録基幹技能者の配置に2点を加点するなど取組みを紹介した。 意見交換会では、各技士会から▽入札参加資格の実績重視の緩和について(福井県)▽受発注者間の技術的な協議の円滑化について(滋賀県)▽電子納品の有効活用について(京都府)▽関係機関との事前調整について(兵庫県)▽設計変更について(和歌山県)▽工事一時中止に係るガイドラインについて(奈良県)―の提案が上がった。 滋賀県が提案した受発注者間の技術的な協議の円滑化について、「現場に力を入れていきたい。3者協議を現場で実施するよう心がけ、我々の若手にも現場力を養うよう指導していきたい」と回答。京都府が提案した電子納品の有効活用については「ガイドライン徹底を図っていくように注意する」とした。 これらの意見を受け、近畿地整の塚田幸広企画部長は「22年度の単価合意契約導入後、作業は増すだろう。そのためにも、設計変更はどのタイミングで協議するのかを明瞭にし、1人ではなくクロスチェックをしていくようにしたい。また必要な書類は多分にある中、精査し、簡素化に努めたい。技能者育成にエールを送りたい」と述べた。 最後に社団法人滋賀県土木施工管理技士会の森本治会長が挨拶を述べ、終了した。 |