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北海道建設新聞社
2010/02/23

【北海道】新幹線の中に貨物車両−JR北海道がt/Tを初公開

 JR北海道は21日、新幹線車両を旅客だけでなく、貨物の輸送手段としても活用する「トレイン・オン・トレイン(t/T)」の実験車両を初公開した。札幌市東区の同社苗穂工場で柿沼博彦副社長は「コンテナを乗せた在来の貨物車両を、車輪を含めて走ってきた装置ごと新幹線車両に乗せて走る仕組み」と説明し、北海道新幹線開業後に北海道―本州間の物流を支える役割を強調した。
 t/T方式は、新幹線電気機関車と貨車からなる「新幹線貨車」と、青函トンネルを含む在来線と新幹線の共用区間(約63`)の両端に設けるボーディングターミナル(積み換え基地)で構成。在来線のコンテナ列車を丸ごと新幹線貨車に積載し、時速200`以上でシャトル輸送するシステム。
 開発の背景について柿沼副社長は「青函トンネルを新幹線と在来の貨物列車が走行すると、速度の差で新幹線は追い付いてしまい、結果的に新幹線の本数が1時間に1本程度となってしまう」「高速ですれ違ったとき、今のコンテナの積み方では安全の確保が難しい」と、輸送力の確保と安全上の課題を挙げ、その上で「この2つの課題を同時に解決する方法としてt/Tを検討、基礎開発に着手した」と経過を説明した。
 青函トンネル区間は現在、旅客列車が1日当たり24本、貨物列車は倍以上の51本が走行。t/T方式を導入すると、新幹線が1時間当たり1本の場合は新幹線貨物列車が7本走行でき、新幹線が30分当たり1本の場合でも2本走行できるという。
 「青函トンネルは貨物輸送が中心。物流の確保を抜きにして、北海道の新幹線は考えられない」と力説する柿沼副社長。技術的には、既存の新幹線技術を落とし込んでシステムを組み上げると言い、「貨物列車を積んだ場合、新幹線貨車の重心が上がる。横風を受けたときの安全性がどうなるのかなど鉄道総合研究所と一緒にシミュレーションしているが、実用化することになると現物を作って確認することになる」とした。
 また、安全や輸送上の課題を解消させるだけでなく、カートレインとしての可能性も挙げながら、「北海道と東北で建設中の高速道路とつなぐことによってネットワークができる」と、物流の変革をもたらすt/Tの採用に期待を寄せた。