静岡県は、災害情報などを伝達・受送信する防災行政無線について、2011年度からデジタル化への移行改修工事に着手する。工事期間は13年度までの3カ年を予定。現在、基本・実施設計を日本工営静岡営業所(静岡市葵区)で進めている。整備工事費は約133億円を想定しているが、基本・実施設計の中で「固定回線の接続個所数の見直し」などコスト縮減策を検討する方針だ。
防災行政無線は、地震などの災害情報・気象情報などを市や町、住民などに迅速・的確に一斉送信するほか、情報の受伝達の役割を担う。県とその出先機関、市町や防災関係機関とをネットワークで結んでいる。
ただ、現在の回線は地上系が1996年、衛星系が93年に更新整備されたため、老朽化による故障が頻発。交換部品の多くが製造中止となっており、修理などの対応が不可能な状態にある。
そこで、現在の移動回線の端末であるアナログ方式(60メガヘルツ帯)からデジタル方式に移行する。移行に伴い、09・10年度の2カ年で基本・実施設計を進める。
設計では、@用地測量A地すべり・ボーリング調査B環境調査C中継所(通信鉄塔、局舎)設計などのほか、無線設備(地上系、衛星系)、県庁統制局設備や電話交換網設備、ヘリテレ設備、電源設備などの施工計画を固める。デジタル方式では電波到達距離が短く無線中継所の増設が必要となるため、09年度は電波伝搬調査を実施する。
整備工事費は約133億円を見込んでいるが、県の財政状況が厳しいため、実施設計の中でコストの縮減を図る。縮減策として、他機関の中継施設の借用、固定回線の接続個所数の見直し、汎用品の使用など検討する見通し。
県では今後、市や町と連携し、地域格差が生じないよう計画的に整備を進め、防災行政無線の高度化を図る方針だ。10年度中に基本・実施設計を完了させ、11年度から改修工事に着手することで「次期防災通信ネットワーク」の構築を推進する。
建通新聞社 静岡支社