京都市は10日、17日開会の2月定例議会に提案する平成22年度京都市当初予算案を発表した。一般会計は7686億5100万円で、前年度比10・8%増。普通建設事業費では、716億5500万円で、同3・4%増となっている。特別会計が6145億2700万円、交通や上下水道などの公営企業会計が2722億1400万円で、予算規模は、総額1兆6553億9200万円の同0・2%増となっている。
22年度当初予算案編成では、三位一体の改革以降全国平均を上回る地方交付税の大幅な削減や景気後退の影響を受け、300億円を超える財源不足が発生。財政健全化推進本部を設置するなど財源不足の解消に全職員給与カットなど市民生活への影響を最小限にとどめ、持続可能な財政運営の確立を図った。
門川市政任期4年の折り返し点となる本予算案では、低成長・少子高齢化時代、地域主権時代にふさわしい公共投資のあり方への転換の第1歩として、約90億円の事業費を「大規模公共事業」を抑制し、「福祉・教育・医療などの生活関連施設の整備」と「生活道路の維持補修などの既存施設の機能向上・長寿命化」に重点配分。その上で、本予算案を「生活安心・未来へのトライ」予算と位置付け、▽市民のいのちと暮らし、安心安全を支える施策並びに中小企業地場産業支援(29項目、69億3020万円)▽環境モデル都市としての地球温暖化対策、低炭素社会の構築(11項目、1億5520万円)▽人と公共交通優先の「歩いて楽しいまち」の実現と地下鉄・市バスの利用促進(7項目、9560万円)▽未来の京都への先行投資と新たな魅力の創出(51項目、16億1830万円)−の4つを重点においている。
10日明らかになった京都市教育委員会の22年度教育予算案によると、教育費は21年度予算と比べて9億4200万円少ない501億1600万円(本年度比1・8%減)で学校運営費や人件費が圧縮されているものの、建設等施設整備費については2億6970万円多い125億0778万円(本年度比2・2%増)を計上した。
新規事業でみると、「八瀬小学校移転整備事業」に1750万円を計上し、22年度に基本設計及び実施設計を予定。また21年度に引き続き、京極小学校、伏見住吉小学校、烏丸中学校、西ノ京中学校、銅駝美術工芸高校を対象にした「京都市立学校耐震化PFI事業」に2500万円を計上している。
上下水道局 総額1535億円
水道541億 下水道994億円 京都市上下水道局の22年度予算案によると、予算総額は、1535億8400万円。水道事業は、541億6300万円で前年度比1・2%の減、下水道事業は、994億2100万円、同6・0%減となっている。
水道事業では当年度純利益8200万円で2年連続の黒字予算となっているものの、公共下水道事業では、前年度と比べて6億1400万円の収支改善が図られたが、当年度純損失13億9700万円で8年連続の赤字予算となっている。
京都市交通局の22年度当初予算案の予算総額は、1017億0200万円。自動車運送事業は、247億0700万円で前年度比4・2%減、高速鉄道事業では、769億9500万円で同22・8%減となっている。
京都市22年度当初予算案の主な事業概要は次の通り(▼…新規事業)。
◆保健福祉局◆
▽保育所整備及び整備助成=6億6850万円
▼(新設)1ヵ所=「桂第二保育園(仮称)」西京区桂久方町
▼(増築)1ヵ所=「岩倉こひつじ保育園」左京区岩倉三宅町
▼(耐震改修)1ヵ所=「信愛保育園」上京区西院町
▼(実施設計)1ヵ所=「京都市御池保育園」中京区柳馬場御池ル虎石町(京都御池創生館)
(継続)6ヵ所=「フジの会保育園(仮称)」伏見区深草泓ノ壷町、「のぞみ保育園」北区小山下内河原町、「西七条保育園」下京区西七条名倉町、「東和保育園」南区東九条河辺町、「だん王保育園」左京区法林寺門前町、「京都市南保育所」南区西九条南田町
▽児童育成施設運営=27億8318万3000円
※児童館116ヵ所→123ヵ所
▽児童館整備等=3億8300万円
▼(新設)4ヵ所=「岩倉南児童館(仮称)」左京区岩倉下在地町、「朱雀第三児童館(仮称)」中京区壬生松原町、「川岡東児童館(仮称)」西京区下津林東大般若町、「桃山東児童館(仮称)」伏見区桃山町伊庭
(継続)2ヵ所=「錦林児童館」左京区岡崎入江町、「祥豊児童館(仮称)」南区吉祥院三ノ宮町
▽児童養護施設整備助成=1億6000万円
(継続)1ヵ所=「京都聖嬰会」北区衣笠西尊上院町
▽障害者就労訓練設備等整備助成=5400万円
▼かしの木学園(中京区西ノ京桑原町)建替整備助成=1億9210万円
▽醍醐和光寮建替整備助成=2億6355万円
※2年計画事業最終年度分
▽特別養護老人ホーム建設助成=9億7130万円
▼(新設)230人=「日野しみずの里(仮称)」伏見区日野田頬町、「健光園」(移転新築)右京区嵯峨柳田町、「嵐山寮」(移転新築)右京区太秦前ノ田町
▼(改修)10人=「原谷こぶしの里」北区大北山長谷町、「同和園」伏見区醍醐上ノ山町
(継続)63人=「第二洛東園(仮称)」東山区上新シ町
▽小規模特別養護老人ホーム建設助成=9940万円
▼(新設)49人=「西の京(仮称)」中京区西ノ京小堀池町、「広沢(仮称)」右京区嵯峨広沢南野町
▽小規模老人保健施設建設助成=1740万円
▼(新設)29人=「マムクオーレ」南区唐橋羅城門町
▽小規模多機能型居宅介護拠点建設助成=3290万円
▼(新設)2ヵ所=「山ノ内(仮称)」右京区山ノ内宮前町、「広沢(仮称)」右京区嵯峨広沢南野町
▽認知症高齢者グループホーム建設助成=4250万円
▼(新設)2ヵ所=「常盤野(仮称)」右京区常盤柏ノ木町、「西の京(仮称)」中京区西ノ京小堀池町
▼社会福祉施設スプリンクラー設備整備助成=3500万円
※認知症高齢者グループホーム7ヵ所
▽京都府医師会館移転整備助成=1億4400万円
▽民間社会福祉施設耐震診断助成=1200万円
◆環境政策局◆
▽再生可能エネルギー利用の推進=1億1346万円
※太陽光発電普及促進事業など
▽京(みやこ)の環境みらい創生事業=3450万円
※低炭素社会、循環型社会の構築等に資する先進的な取組に対する支援
▽南部クリーンセンター第二工場整備=401万円
▽クリーンセンター焼却炉等改修=4億3290万円
▽焼却灰溶融施設整備=15億1750万円
※土木造成工事等、東部山間埋立処分地、処理能力330t/日、16〜22年度7年計画事業最終年度分
▽東部山間埋立処分地整備=1億8057万4000円
※進入道路橋耐震補強工事、浸出水集排水施設工事など
▽大岩街道周辺地域対策=3513万6000円
※▼旧エコクリーン焼却炉の解体工事
▽公衆便所整備=668万5000円
※既存トイレの改修など
◆産業観光局◆
▽新産業技術研究所整備事業−イノベーションの創生に向けた新たな拠点整備=46億9000万円
※建物取得、機器整備など
▽商店街等支援事業=6817万9000円
※商店街等環境整備支援事業など
▽農とふれあう総合体験型市民農園整備事業=1850万円
▽越畑「棚田の里」整備事業=1億5270万円
▽大原地区観光農村育成事業=1985万6000円
※ほ場整備、農道整備など、17〜23年度7年計画事業第6年度分
▽農業基盤整備事業=3112万円
▽農業用里道・水路等管理対策=1147万9000円
▽森林整備事業=9736万4000円
※環境保全型の森林整備「絆の里山整備事業」など
▽林道改良事業=1830万円
※久多尾越線改良など
▽林道等整備事業=8109万6000円
※府営丹波広域基幹林道開設事業など
▽森林等被害防止対策事業=1億7409万5000円
▽「合併記念の森」創設事業=1億2230万円
※管理道、歩道、ため池整備など右京区京北下弓削矢谷町ほか
◆都市計画局◆
▽らくなん進都整備推進事業=730万円
※らくなん進都の新たなまちづくりの推進
▽次期都市計画マスタープラン策定=750万円
▽「歩くまち・京都」の推進=1億0530万円
※京都駅南口駅前広場の整備など
▽鉄道駅耐震補強事業費補助=500万円
※京阪深草駅
▽姉小路界わい地区街なみ環境整備事業=472万円
▽古都保存区域内の施設整備・維持管理=6190万2000円
※嵐山地区の柵の設置など
▽北白川丸山町緑地整備=7674万3000円
▽建築物の耐震対策=3005万円
▽吹付けアスベスト除去等助成=1750万円
▽耐震改修助成=2780万円
▽平成の京町家普及・促進事業=1200万円
※コンソーシアムの設立など
▽公営住宅建設事業=13億7646万4000円
※ストック総合改善など、山科3棟西側トータルリモデル、エレベータ設置など
▽住宅地区改良事業=28億0058万6000円
※継続=崇仁塩小路高倉2−2棟(仮)、三条鴨東22棟(仮)など
▽改良住宅等改善事業=15億4144万9000円
※改良住宅等建替、ストック総合改善、継続=崇仁南部新2棟(仮)、北河原新棟(仮)
▽東九条地区住宅市街地総合整備事業=3億3475万2000円
※建物の買収、補償、除却など
◆建設局◆
▽御池シンボルロード再整備=825万円
※御池通まちかど駐輪場
▽道路維持補修等=24億9360万円
※清掃・除草、舗装道補修、交通安全安全施設整備等
▽間伐材を活用した道路付属物の整備=620万円
※木製横断防止柵の設置(東本願寺前)
▽無電柱化事業(京のみちづくり)=3億8650万円
▼(新規)=上京北野界わい景観整備地区翔鸞緯7号線(上七軒通)、上賀茂神社周辺地区京都京北線他、(継続)=清水寺周辺地区(松原通)
▽道路特別整備=32億5000万円
※国道162号(栗尾)、大山崎大枝線、西砂川橋など
▽道路改良=11億8716万8000円
※大山崎大枝線、小川通など
▽橋りょう改修=3億4379万円
※補修・改良=九条跨線橋、今熊野橋など
▽交通バリアフリー対策=3億8700万円
(継続)=京都地区、稲荷地区、河原町地区、伏見地区など
▽企業者掘削跡路面復旧受託工事=3億8610万円
▽幹線街路整備=3億2244万円
※竹田街道、中山石見線、油小路線など
▽重要幹線街路整備=53億6140万円
※竹田街道、油小路線(斜久世橋工区)、油小路線(鴨川西ランプ)、油小路通(伏見北工区)、向日町上鳥羽線など
▽京阪本線淀駅周辺整備=33億2200万円
▽JR山陰本線複線高架化事業=2億7200万円
※事業区間=京都駅〜二条駅、花園駅〜嵯峨嵐山駅
▽阪急京都線連続立体交差化事業=25億1400万円
※事業区間=桂駅南側〜東向日駅北側
▽街路基本調査=300万円
※北泉通
▽普通河川改良=7600万円
※杉坂川、宮川など
▽高瀬川漏水対策調査=300万円
▽排水路改修=3億4263万円
※幹線俳水路、一般排水路
▽都市河川整備=12億4594万5000円
※西羽束師川、善峰川、新川、旧安祥寺川、西野山川、七瀬川
▽御池シンボルロード再整備=944万円
※四季の花ストリート事業
▽都市緑化事業(街路樹整備)=2500万円
※川端通(今出川通〜冷泉通)、北大路通(東大路通〜叡山電鉄)
▽その他公園整備=13億1553万6000円
※三条坊町公園、長谷土田公園、西賀茂1号公園など
▽公共団体区画整理補助事業=6億5390万3000円
※伏見西部第四・第五、上鳥羽南部、洛北第二、竹田、二条駅地区
▽組合区画整理補助事業=1億6600万円
※洛北第三地区
◆京都市教育委員会◆
◎学習指導の充実
○職業観・勤務観を育む「生き方探究教育」(キャリアスタンダード)の推進=1億3178万2000円
▼京都こどもモノづくり事業の充実1500万円
※生き方探究館の地下1階スペース(2教室分)の改修など
○障害のある幼児・児童・生徒の教育の充実=5億5223万6000円
▼総合支援学校の新学習拠点整備5080万円
※白河総合支援学校の新たな教育施設の整備など
○理科・環境教育の充実=9922万円
▽学校エコ改修及び環境教育事業2063万円
※学校施設の省エネルギー化と快適な学習環境の両立など
◎教育環境の整備充実
○学校新増改築事業=57億4598万円(28億8160万円)
▼八瀬小学校移転整備、南区統合小中一貫校整備(東九条地域の3小、1中学校)、開睛小中一貫校整備(東山区北部の5小、2中学校)▼小規模校統合整備に係る基本計画策定等など
○学校施設耐震補強計画の推進=31億1092万8000円
▼学校耐震化PFI事業2500万円
※大規模な耐震補強が必要な学校について、PFI手法により迅速に工事
◆文化市民局◆
▽埋蔵文化財発掘調査=6700万円
▽大学との連携による未指定文化財庭園の調査=290万円
▽美術館再整備事業=2100万円
▽動物園基金積立=4053万円
▽新「京都市動物園構想」の推進=2億2600万円
※新「おとぎの国」整備事業など
▽二条城整備=2億4370万3000円
※元離宮二条城計画的整備事業など
▽世界遺産・二条城一口城主(本格修理募金事業)=1億0300万円
▽岡崎地域活性化ビジョン及び京都会館再整備基本計画の策定=2000万円
▽文化施設等整備=7530万円
※京都会館等維持補修
▽区庁舎総合庁舎化の推進=30億6019万8000円
※上京区総合庁舎整備、左京区総合庁舎整備
▽松尾山〜桂坂ウォーキングロード(里山縦走)整備事業(仮称)=100万円
▽夜間校庭開放事業=4282万2000円
※中学校グラウンド夜間照明設備設置(東山区)
▽スポーツ施設等整備=9736万8000円
◆消防局◆
▽京都駅周辺の消防救急体制の整備(塩小路消防出張所(仮称)の新設)=1億3290万円
※庁舎建設、下京区上之町
▽消防水利整備=1億8400万円
※耐震型防火水槽40m3級5基、耐震型防火水槽100m3級7基、防火井戸3基
▽消防防災通信ネットワークの構築=2億3660万円
※地域防災無線整備など
▽予防消防推進=6120万円
※新たな住宅用火災警報器設置促進事業など
▽文化財とその周辺を守る防災水利整備=8100万円
※配水管、市民用消火栓等の整備、東山区清水地域
◆行財政局◆
▽調査管理費=6億2849万3000円
※市庁舎整備基本計画(案)の策定に向けた整備方針の確定
◆総合企画局◆
▽山ノ内浄水場跡地活用方針の策定=450万円
◆京都市上下水道局◆
◎水道事業
○上水道施設整備事業=89億円
▽取水・導水施設=2億7000万円
※疏水路改良、若王子取水池増設
▽浄水施設=32億1000万円
※蹴上浄水場(1・2号薬品ちんでん池築造、粉末活性炭触池築造)、松ヶ崎浄水場(送水ポンプ取替え、急速かくはん池改良、フロキュレータ設備取替)、山ノ内浄水場(ポンプ場整備(北側施設))、新山科浄水場(低区配水池内面改良、次亜貯蔵層取替)
▽配水施設=49億円
※幹線配水管布設替え・連絡幹線布設2q、支線配水管布設及び布設替え17q、補助配水管布設及び布設替え13・5q
▽その他施設=5億2000万円
※洛西配水場遠隔監視制御施設取替え、水道施設耐震化計画策定
▽上水道安全対策事業=4億7800万円
※配水管相互連絡
○鉛製給水管単独取替事業=30億円
※鉛製給水管の取替え(道路部分)1万2000件
◎公共下水道事業
○公共下水道建設事業=157億円
▽浸水対策=13億2800万円
※塩小路幹線、久世高田調整池等
▽合流式下水道改善=33億4900万円
※七条東幹線、河原町分流幹線、朱雀北幹線、大手筋北幹線、九条分水室、放流きょ等
▽汚水整備=5億8200万円
※岩倉等の5fの整備
▽高度処理=18億円
※鳥羽・伏見高度処理施設整備等
▽改築更新=84億2600万円
※管きょ・ポンプ場(経年管対策等)、水環境保全センター(鳥羽:機械濃縮機械整備、階段炉乾燥設備、施設の耐震化等、伏見:合流系雨水ポンプ機械・電気設備、施設の耐震化等、石田:特高受変電設備等)、汚泥集約施設(鳥羽石田連絡汚泥圧送管布設)
▽その他=2億1500万円
※場内整備等
◎地域水道事業
○大原簡易水道再整備事業=3億5500万円
※第一配水池整備工事、送水管及び配水管布設工事等
◎京北地域水道事業
○京北地域水道再整備事業=8億3700万円
※弓削簡易水道(浄水場設備及び配水池等整備工事)、黒田簡易水道(浄水場及び配水池等整備工事等)、京北中部簡易水道(実施設計)、細野簡易水道(実施設計)
◎北部地域特定環境保全公共下水道事業
○北部地域特定環境保全公共下水道整備事業=18億0200万円
※管きょ布設、公共ます設置及びマンホールポンプ設置工事(大原、静原、鞍馬、高雄地区)
◆交通局◆
◎自動車運送事業
▽営業所施設その他一般改良=14億1088万1000円
◎高速鉄道事業
▽建設改良事業=27億5662万5000円
※車両安全対策、点字タイル、手すりの増設など