静岡県中小企業団体中央会は5日、静岡市葵区の静岡グランドホテル中島屋で官公需問題懇談会を開いた。講師に招かれた全国官公需適格組合受注確保協議会の星野輝夫会長は、総合評価方式が中小企業には機能しないと指摘し、地域貢献の評価をより重視する仕組みに変えていかなくてはならないと訴えた。
懇談会には、畳、建具、広告美術、造園、生コンクリート、大工建築などの組合代表者らが参加した。
星野会長は、適格組合をめぐる全国の官公需の動向などをテーマに話した。特に総合評価方式に触れて、「この方式の一番の基本は実績だが、中小は実績に乏しい。中小には機能していない。地域貢献としての防災協定では差別化にならない」と指摘した。
その上で、日常的な維持管理・保守点検や地域教育活動への参加、区民イベントへの参加といった区政への協力を評価項目とする東京・江戸川区の独自の総合評価方式を紹介し、「総合評価方式を変えていかなくてはないらない」と訴えた。
当日は、静岡県県民、建設、産業の各部と浜松医科大学からも担当官が出席し、それぞれの立場から中小企業対策を紹介。その後、参加者と意見交換した。この中で県建設業室からは、経営事項審査での適格組合員に対する合算評価の活用を呼び掛けた。
ダンピング対策も話題になった。県からは、昨年2度にわたって基準を改正したことなどを説明。星野会長は、最低制限価格の引き上げが最も効果的とするとともに「運動で市民にも訴えていく必要がある」と語った。
建通新聞社 静岡支社