北海道建設新聞社
2010/02/09
【北海道】設計変更など受発注者が確認−円滑化会議の立会スタート
北海道開発局は、現場の施工効率化の一環として、2009年度完了工事を対象に「円滑化確認会議」を開催しているが、本局課長の立会による会議が8日、スタートした。立会の対象は河川、道路、港湾、農業の4カ所の現場で、受発注者双方の設計変更項目や書類の簡素化などの確認作業に立ち会う。今回立会対象となった現場を施工した中山組の棚田正雄常務は「受発注者双方が同じテーブルで協議・確認することは非常に有意義。現場の利益を重視する施策の充実に大きな期待を寄せている」と話している。
開発局の施工効率化の取り組みは、工事量の減少と競争激化による企業の収益悪化に対応するため、09年5月に、情報共有システム(ASP)を活用したワンデーレスポンスや、検定資料作成の効率化などを柱とした各種施策を打ち出した。さらに11月には、栗田悟事業振興部長を委員長とする「施工効率向上プロジェクト推進会議」を立ち上げ、入り口、プロセス、出口(精算)の3段階における効率化施策を展開している。
今回の「円滑化確認会議」開催は「設計変更が認められない」との企業側の根強い不満の背景に、発注者側の説明不足が一因にあると判断。現場所長に加え、企業の役員らの参加により、設計変更可否の実情を企業として理解してもらうことなどを狙いとしている。
また、本局の担当課長が立会することで、本局と出先機関の効率化に対する意識の一体化と、効率化に取り組む開発局の姿勢を、発注担当部局に明確に伝えることも念頭に置いている。
立会の対象は、河川が「石狩川改修千歳川早苗別水文擁壁改築」(施工は草野作工)、道路が「337号当別町美登江改良」(同花井柳川)、港湾は「石狩川新港北防波堤ほか」(同福津組)、農業が「道央用水3期地区道央注水工幌加工区」(同中山組)の4現場。会議は建設専門紙に対して公開で行われる。
8日に札幌南農業事務所で行われた立会には、本局から石田悦一技術管理課長と板倉純農業整備課長らが出席。中山組本社からは棚田常務と土木事業部の矢部央土木課長が参加した。約1時間の会議では、設計変更項目・数量や書類簡素化の実情、技術提案の履行状況を受発注者双方が文書で確認した。
確認作業は、設計変更を発注者側、総合評価方式の技術提案履行状況を受注者側が説明。設計変更では、指示書の内容を具体的な数量を含めて双方が再度確認。書類の簡素化では、紙と電子の選択を受注者側の意向を確認する形で進められた。
協議終了後、中山組の棚田常務は、今回の円滑化確認会議について「企業にとって課題となる設計変更と書類の簡素化などについて、具体的な数字を基に受発注者双方が同じテーブルで協議・確認することは非常に有意義」と高く評価。開発局が取り組む施工効率化についても「発注者が現場の利益向上を真剣に考え、施策の充実が図られることについて、業界としても大きな期待を寄せている」と話している。