建通新聞社(中部)
2010/02/03
【愛知】事業費は350億円に/名古屋市東山動植物園再生プランの素案を公表
名古屋市緑政土木局は、当初約400億円を予定していた事業費を約350億円に変更し、整備期間も36年度(開園100周年)までの約25年間に延長するなどの「東山動植物園再生プラン新基本計画」素案を公表し、21日までパブリックコメントを募集している。寄せられた意見を参考にし、2009年度末に新基本計画を策定する予定だ。
市は、07年6月に展示などの基本的な考え方や施設整備の方針などを示した「東山動植物園再生プラン基本計画」を策定した。しかし、09年に河村たかし市長が計画の見直しを指示したため、新たに「現存する歴史文化的施設や樹木・景観に配慮する」「市民により一層楽しんでいただく」の2つの視点を加え、基本計画の見直しを進めており、今回素案をまとめ公表した。
新基本計画では、「東山動植物園の歴史および歴史的資産の保全・活用について」「にぎわいのある快適な園内空間の創出について」の2つの項目を新たに加え、「管理運営について」「市民などの参加・協働の推進について」の2項目の内容を充実した。
主な変更点は、施設については、正門エリアを保存するため、連絡橋や事務室を含む情報交流拠点施設については廃止することにした。植物園については、重要文化財温室の保全活用を新たに加え、探検温室で展開を計画していた動物園と植物園の融合については、重要文化財温室とそれに付属する施設の整備の中で検討していくことにした。東山の森は整備区域を縮小する。
事業費は当初の計画の約400億円から約350億円に変更し、整備期間についても、16年度(開園80周年)までの10年間を、36年度(開園100周年)までの約25年間に延長し、おおむね5年ごとに事業計画の見直しを行うことにする。年間入場者数は当初の計画では350万人としていたが、新計画では300万人と想定している。
新計画で示された園内の施設の設置時期とその対応は次の通り。
〈1937年開園当初〉
▽保全活用を図るもの―重要文化財温室、ライオン舎、噴水、正門など
▽老朽化により更新するもの―ゾウ舎、ヒョウ舎、ヒョウ・ジャガー舎、大型インコ舎、コンドル舎など
〈昭和30〜50年代〉
▽補強などの上、活用を検討するもの―インドサイ舎、マレーバク舎、合掌造りの家、動物会館、植物会館など
▽新設エリアとして、更新を検討するもの―キリン舎、アフリカゾウ舎、カバ舎、類人猿舎など
〈昭和60年代〜平成〉
▽原則として活用していくもの―自然動物館、世界のメダカ館、子ども動物園、キンシコウ舎、星が丘門など