静岡県は27日、「2009年度設計VE発表会」を静岡市駿河区のあざれあで開いた。土木事務所や農林事務所など県出先機関の14事例に加え、静岡市や静岡県建設コンサルタンツ協会の設計VEへの取り組みが紹介された。行政関係者やコンサルタント企業の技術者など約200人の参加者は、構想段階や基本設計でのVE導入がコスト縮減や安全性向上に直結する点をあらためて確認した。
静岡県建設部ではコスト縮減や機能向上を目的に、入札時VEや契約後VEとともに、設計VEについても03年から試行している。06年度からは本格的に実施し、08年度に実施した10事業のコスト縮減額は41億4955万円。縮減率は実に37%を誇る。
発表会では、土木事務所などの担当職員が、道路、橋梁、河川、管路、農道などさまざまな構造物の計画・設計時でのVE事例を説明した。
設計VEがもたらす効果として、「コスト縮減だけでなく機能向上、制約条件の克服が図られる」「短期間で事務所内の合意形成が図られる」「幅広い発想や意見が出され、職員の技術向上、技術の伝承につながる」などが挙がった。
一方で、詳細設計段階ではなく「基本設計や構想段階でVEを実施できたら、より大きな効果がもたらされる」との声もあった。制約が少ない時点での設計VEの推進が、今後の課題として残った。
このほか、横浜国道事務所藤沢出張所所長の澤健男氏と、ユニオン代表取締役の村橋元氏が特別講演を行った。村橋氏は「VEの活用により、価値の高い社会資本整備を実現できる。幅広い視野でとらえれば社会貢献につながる」と述べた。
発表された事例は次の通り(敬称略)。
▽設計VEって、どんなもの(島田土木)▽多くの制約の中、自由な発想がどこまで実現可能か(静岡土木・清水港管理局・中部農林)▽事業着手準備箇所への設計VEの導入(富士土木・田子の浦港管理・富士農林)▽残したい日本の原風景(沼津土木)▽コンサルタントから見たVE(静岡県建設コンサルタンツ協会)▽設計VEによる現道空間を生かした老若男女安全なみちづくり (袋井土木・太田川ダム)▽港を守る堤防の整備(御前崎港管理)▽農林事務所初の取り組み事例につて(中遠農林)▽治山工事の理解を深める設計VE(志太榛原農林)▽検査事務の改善(静岡市)▽擁壁に頼らない安全対策(下田土木・賀茂農林)▽設計VEによる河川改修計画の検討(浜松土木・西部農林)▽新規農道の設計前VE(東部農林)▽職種の垣根を越えた設計VE(企業局東部)▽協働による設計VEの実施(熱海土木)
建通新聞社 静岡支社