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建設経済新聞社
2010/01/26

【京都】鴨川河川整備計画 七条大橋〜桂川合流点を優先 井堰改築、橋梁補強など盛る

 京都府は、鴨川の七条大橋から桂川合流点の間について、今後優先的・重点的に河川整備を進める。このほど策定した鴨川河川整備計画に井堰改築や橋梁補強など今後の対策を盛り込んだ。
 計画は、100年確率の洪水に対応できることを目標に、当面は概ね30年に1回起こり得る降雨による洪水(荒神橋地点1000m3/s)を流下させることを整備目標に設定した。
 計画期間は概ね30年間。対象区間は鴨川及び支川における一級河川の管理区間。最下流の桂川合流点から七条大橋までの約7・6q間を優先的かつ重点的に整備することとし、河床掘削、河道拡幅、護岸整備、井堰改築、橋梁補強等を行う。
 約7・6qのうち、桂川合流点から鳥羽大橋までの約3・0qでは、主に河床掘削と低水路拡幅を行う。自然が多く残された区間であることを踏まえ、護岸整備では、袋詰め根固めなど自然に近い構造とし、高水敷に勾配を持たせ低水護岸と一体化、より自然となるよう工夫する。河床を下げるため、井堰の改築(龍門堰1基)、橋梁補強(京川橋、名神高速、鳥羽大橋の3橋)が必要で、これもあわせて実施する。
 鳥羽大橋から七条大橋までの約4・6qでは、流下能力の向上のため、河床掘削とJR東海道線橋梁付近で河道拡幅を行う。河床低下に伴う井堰改築(3・6q付近井堰と5・0q付近井堰の2基)と、橋梁補強(竹田橋、水道橋、近鉄橋、くいな橋、勧進橋、東山橋、九条跨線橋、新幹線、JR加茂川橋、JR東海道線、塩小路橋の11橋)を実施する。また、護岸整備では、中流域と同じく景観に配慮した丸みのある石積み護岸構造を踏襲する。
 七条大橋から二条大橋付近までの掘込区間や、高野川の高野橋から三宅橋付近の掘込区間、志久呂橋上流の流下能力が不足する区間は、引き続き対策を調査・検討する。特に、七条大橋から二条大橋までの区間は、歴史的にも景観的にも重要な価値を有する七条大橋や三条大橋などがあり、治水対策によって景観の大きな変化が懸念されるため、京都市とも連携を図りつつ、検討を行うとした。
 このほか、高水敷や堤防天端を利用して、上流から下流まで連続したジョギングロードの整備、野鳥などの自然観察スペースの整備を進める。鳥羽大橋から御池大橋までの区間では、三条大橋から七条大橋の間で整備された「花の回廊」と連続させ、「緑の回廊」を整備する。丸みある石積み護岸や堤防堤内側斜面を活用した高木植栽、高水敷の芝生植栽などを行う。
 桂川合流点から鳥羽大橋までは、現状の形態に近い護岸整備(袋詰め根固め、木工沈床等)を行い、自然の河床変化を保全する。また高水敷をなだらかな勾配の芝生園地として整備、親水性を確保する。
 西高瀬川背割り堤は、京川橋の上流で過去に不法占用があったため、新たな不法占用が発生しないよう、植栽による修景整備を実施する。
 木津川・桂川の沿川で整備されている京都八幡木津自転車道と、鴨川の高水敷を活用した自転車道との連続化を図る広域自転車道のネットワーク構築を検討する。加えて、京阪五条駅と地下鉄くいな橋駅の間に乗り捨て可能な自転車ステーションなどの整備を図る。
 近年、鴨川下流域周辺では、高速道路(油小路)が一部開通するなどし、この地域の人の流れ、物の流れが大きく変わると予想されることから、土地利用活性化の一つとして、スーパー堤防のような堤防天端と同じ高さにした土地利用の導入なども1例としてあげた。