建通新聞社四国
2010/01/08
【愛媛】津島道路など困難に 政府予算案閣議決定で県が見通し
2010年度政府予算案の閣議決定を受けて、愛媛県が県内重要施策の実現見通しについて行った調査によると、公共事業費確保の面では全般的に厳しい状況になっている。国土交通省の公共事業関係費(全国枠)は09年度比15%減の4兆8585億円で、今後の事業個所ごとの個別内示も厳しいものになると予想される。中でも高速道路南予延伸に係る道路直轄事業の改築費は17%減の8544億円にとどまり、宇和島市内で整備が計画されている高速道路「津島道路」の新規事業化も難しい状況だ。さらに大洲市で計画されている山鳥坂ダム建設の事業費は55%減の5億円で、実質的な事業凍結となる。公立学校施設の耐震化関係費は1031億円で2%減、ただし補正予算を含めた09年度予算総額と比べると4分の1に近い水準に落ち込むことになる。
県は10年度政府予算編成に向けた重要施策の提案・要望を、民主党が新たに決定した陳情ルートに沿って、09年11月に行っていた。
全国枠予算による事業への直接的な影響は、今後の個別内示の内容に左右されることになる。県は重要施策の提案・要望で社会資本整備に関し、全国に比べて大幅に遅れている県内の状況を踏まえて重点的な予算配分を訴求。事業の評価方法にも言及し、交通量に依存した3便益(走行時間短縮、走行経費減少、交通事故減少)のほかに、地域活性化や物流効率化、安全で安心な生活の確保など多様な効果も的確に評価して、地域の実情を踏まえた判断を行うよう求めている。
山鳥坂ダム建設で盛り込まれた事業費の内容について県は、工事事務所の人件費や環境影響評価の継続費といった必要経費に限られ、用地費など事業のステップアップに向けたものは含まれないと見ており、今後、国が行う事業の検証作業にあたって復活を要請していく考えだ。
県は東南海・南海地震対策として、海岸保全施設や避難路、緊急輸送道路などの整備に向けた財源確保も要望していたが、国土交通省の海岸事業費(全国枠)は52%減の223億円、道路事業費(同)は25%減の1兆2464億円で、これらも個別内示については厳しい状況が見込まれる。
一方で、大洲市で進められている鹿野川ダム改造の事業費は16億円で2%の微減。直轄河川改修事業費(全国枠)は11%増の997億円に上っており、県内事業に関しても必要な予算の確保が見込まれる。