浜松市中心部と天竜区西鹿島を南北に結ぶ遠州鉄道鉄道線−。鉄道によって分断化された地域の一体的な整備を図るために高架化を中区助信駅〜馬込川付近の鉄道線連続立体交差事業の第2期と国道152号浜北天竜バイパス整備の関連事業として浜北区新原で高架化が進めている。助信駅〜馬込川付間の第2期では、2010年度から上部工の未発注区間や駅舎の建築設備などを進める。一方、浜北天竜バイパス関連では、交差部などの鉄道高架上部工に着手する予定。
【助信駅〜馬込川付近の鉄道線連続立体交差事業第2期】
中区助信駅〜馬込川付近の鉄道線連続立体交差事業第2期では、市街地を通る道路と、交差する遠州鉄道の立体交差を行い、踏切を除去することによる道路交通の円滑化と、鉄道によって分断化された地域の一体的な整備を図るために整備を進めている。
遠州鉄道鉄道線の高架は、第1期として1985(昭和60)年12月に新浜松駅から助信駅までの約2・6`区間の高架化を完了。現在整備を進めている第2期はこの延伸部となる馬込川付近までの約3・3`bの高架化となる。
第2期の区間で立体交差する道路は都市計画道路(市道)3路線、その他の市道14路線の計17路線、除却できる踏切は21カ所となる。98(平成10)年度に連続立体交差事業の新規着工準備個所として採択された。2002年6月に都市計画決定され、その後、都市計画変更を経て04年11月に事業認可を受けて、同年に工事着手した。
現在、工事が行われている区間のうち八幡駅以北〜上島駅間は、車道と並行して高架化が進められている。完成後は車両のスムーズな通行を図るため、両側車道に対して中央分離帯に遠鉄高架が設置される形となる。また、上島駅から以北は並行する車道はなく、住宅密集地を抜けることから狭い場所での工事が強いられる。そのため、十分な作業スペースが確保できないなどの理由により、既存線路東側の緑道へ敷く仮線設置が遅れていた。このような経緯から、10年と予想していた完成年度が13年度に延期された。
同事業は県が04年度から着手。07年度、政令指定都市移行に伴い浜松市が事業委譲した。
第2期の助信駅〜馬込川付間では、2009年度で下部工の発注がすべて完了し、10年度から上部工の未発注区間となる上島駅北側の上部工(延長450b)、馬込橋上部工(64b)や曳馬駅北側から上島小学校間の上部工(延長150b)に着手するほか、助信駅、曳馬駅、上島駅の駅舎建築設備を順次整備していく予定。11年度からは、軌道などの鉄道施設の整備を進め12年度中の供用開始を予定している。供用後に、現鉄道施設を撤去し、13年度中の事業完了を目指している。
同計画は、遠州鉄道線駅周辺地区の都市部に交通至便な立地条件にあることから、@無秩序な市街化の進行A鉄道による地域分断B土地利用の混在による生活環境の悪化C道路が狭く防災上問題点がある−などさまざまな課題を抱えている。
これら問題点の改善策の1つとして、遠州鉄道に沿った都市計画道路有玉南中田島線と鉄道高架化を一体的に整備することで、東西都市計画道路の整備促進を図り、地区内の生活道路における通過交通を減少させ交通の整流化を図る。また、沿道を利用した土地利用の誘導や駅舎の再建に合わせ、土地区画整理事業や駐輪場の充実などにより、駅周辺整備を進め、都市的イメージへの転換によって地区サービスの集積が可能になる。
事業の効果としては、安全性(踏切事故がなくなり地域住民などの通勤・通学や日常生活が安全なる)、利便性(踏切遮断による渋滞が解消され、東西方向の交通がスムーズにかる。また幹線道路の整備により道路ネットワークが充実する)、快適性(駅アクセスの東西不均衡が改善され、地域の一体的なまちづくりが可能になる)−が改善される。
また、遠州鉄道鉄道線連続立体交差事業に合わせて、道路関係では都市計画道路有玉南中田島線は都市計画道路中ノ町都田線(柳通り)から都市計画道路下石田細江線との間の延長2・5`は、現鉄道線を撤去後に、現在の20bの幅員が30b(4車線)に拡幅される計画となっている。このほか、東西に横断する都市計画道路下石田細江線、浜松内環状線や高林芳川線の整備が可能になり、既設に完成している道路へ接続され、新しい道路ネットワークがつくられていく。
【国道152号浜北天竜バイパス整備関連整備】
国道152号浜北天竜バイパス整備は、2010年度から遠州鉄道鉄道高架上部工に着手する計画で準備を進めている。
同バイパス整備区間の南側では、バイパスと交差する遠州鉄道西鹿島線の高架化を進めている。芝本駅から南に約1000b区間を高架にするもので、08年度から整備に着手した。10年度は同区間の鉄道高架上部工を中心に整備を進めていく計画となっている。
同パイパスは現在、新東名高速道路の開通に合わせ1期工間(浜北区新原の遠州鉄道線から天竜区二俣町阿蔵までの延長5148b)の残り2460bを暫定2車線(幅員13b)で整備を進めている。1期区間の全線供用は12年度の予定。
また、12年度の供用開始が予定されている新東名高速道路浜北IC(仮称)と市中心市街地とを円滑にアクセスすると共に、北遠地区中心部の慢性的な渋滞解消、国際標準コンテナ車通行支障区間の解消など、開通により大きな役割が期待されている。
将来的には、三遠南信自動車道や新東名高速道路など高規格主要路線とのネットワークの形成により、北遠地域への高速アクセスの確保・強化を目指し、主要な拠点区間においても広域交通ネットワーク機能の充実を図っていく。
なお、T期工間の以北について、現在は天竜区阿蔵〜同区山東までを2期工区とする計画があり、新東名高速道路開通後の整備計画が今後の課題となっていく。
建通新聞社 静岡支社