現在、工業高校で学ぶ3年生の約60%が卒業後に就職を予定しているものの、希望する建設関連企業からの求人がなく他産業を目指す生徒も出ており、建設不況の影響を受けている。また、生徒を送り出す側の先生の約60%が生徒の就職に関し「建設関連団体や企業と話す機会に恵まれていない」と感じ、そのうちの8割が積極的に話す機会を持ちたいと考えていることから、今後、業界と学校との一層の情報交換が必要といえそうだ。建通新聞社が県下の工業系高校の協力を得て実施したアンケートで明らかになった。
来春の卒業生、特に高校生の就職が厳しいといわれている。建通新聞社では高校生の進路などに対する本音を探るため、修善寺工業、沼津工業、科学技術、島田工業、天竜林業、浜松工業の6校を対象に、緊急アンケートを実施。合わせて生徒を指導する先生はどう感じているかも調査した。11月までに3年生の生徒341人、教諭58人から回答を得た。
生徒が現在の高校を選択した理由として、約半数に相当する174人が「建築(土木)などを学びたかったから」を挙げた。多くが建設関係に魅力を感じ、目的意識を持って取り組んでいるとみられる。土木・建築科別では、「土木など学びたかった」が36・6%、「建築など学びたかった」が59・8%となり、専攻により開きがあった。また、親や中学校の先生のアドバイスが進学先選択に影響しているケースもみられることから、親や中学校先生の理解を深める仕掛けも必要といえそうだ。
一方で、卒業後の進路(グラフ参照)については、約6割の207人が就職を予定。うち51・7%が高校で学んだ分野への就職を予定している。反面、専門分野以外が44%あり、理由として「他にやりたいことがある」「建設業に興味がない」がいずれも31・5%。不景気を反映し「希望する求人がない」(14・1%)とする生徒もいた。
生徒の進路について先生は、建設産業界の現状に理解を示しながらも、「公共事業の削減で建設業の将来が心配」など今後を不安視している。また、「今回の調査結果に数字として表れていないが、景気が悪くなると進学率が高くなる」傾向もあるという意見も。建設産業界との接点については、「機会に恵まれていない」が58・3%あり、うち82・9%が積極的に話す機会を持ちたいと考えている。
建通新聞社 静岡支社