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建設経済新聞社
2009/12/22

【京都・滋賀】京滋の地域医療再生へ交付金 舞鶴に400床規模の新病院 長浜・豊郷病院でリハビリ棟 

 厚生労働省は18日、救急医療体制の構築、医師不足の解消・医師の定着化、病院同士の連携などを支援するため地域が取り組む医療再生計画に対し、総額2349億9792万円の21年度地域医療再生臨時特例交付金を内示。このうち、京都府の計画に50億円(丹後地域25億円、中丹地域25億円)、滋賀県の計画に50億円(東近江地域25億円、湖東・湖北地域25億円)を内示した。府県は交付金を基金にし、順次事業に着手する。
 京都府・丹後地域医療再生計画によると、人口10万人当たり151人という厳しい医師不足を解消し、医師の定着化を図るため、「新規診療所・既存診療所設備」への助成による高度化支援などを図るとともに、「共同利用保育所」「地域共同利用宿舎」を整備し、圏内医療従事者の確保・定着のための生活環境を整備する。これらの対策を行う「ふるさと医療支援プロジェクト」に7億7000万円(うち基金5億2000万円)を充てる。
 医療施設や医師・看護士等の医療従事者、医療提供体制の不足による救急等の対策不足を解消するため、「救急医療等の4疾病・5事業特別対策」に12億9000万円(うち基金12億9000万円)を充て、高度医療機器等の「共同利用センター」を設置し、圏内の医療機関が共同利用できる体制を構築する。与謝の海病院には放射線治療室、感染症診療室を整備、がん診療や感染症対策を充実させる。地域医療支援病院の与謝の海病院と地域の病院・診療所等の登録かかりつけ医等が共同利用可能な「地域共同利用型電子カルテシステム」を導入し地域医療支援を充実させるとともに、訪問看護ステーションの整備促進等も図る。
 一方、舞鶴市が進める公的3病院の再編を核に策定した中丹地域医療再生計画によると、公的病院の再編・連携及び基幹病院の創設を掲げた。中丹医療圏の管制塔となる高次救急医療機関となる400床規模の新病院(急性期病院)を整備。新病院は基幹的病院とし、既設病院は補完的機能を持たせ、相互連携で地域医療を充実強化する。基幹的病院創設事業の事業費は83億2000万円(うち基金22億7600万円)。事業内容は、▽施設整備(管制塔機能を有する高次救急機能を中心にした新病院の建設及び既存病院の機能充実)▽医療機器の整備(高次医療等に必要な医療機器整備)▽電子カルテ等導入(電子カルテ及びICT等導入)等。このほか、高機能な救急車整備など医療体制確保事業は2億8000万円(うち基金2億2400万円)を充てる。

東近江の3病院を再編

 滋賀県・東近江医療圏地域医療再生計画によると、東近江市の国公立3病院である▽国立病院機構『滋賀病院』(220床)▽市立『能登川病院』(120床)▽市立『蒲生病院』(120床)の医師不足で二次救急患者が三次救急に集中。圏域内の救命救急センターへの負担が大きくなっているため、3病院の集約化・再編により、東近江市内に新たな病院(320床)を整備。二次救急医療体制を確保する「医療機関の再編・整備に必要な施設・設備の整備事業」に4億4520万円(機能転換のための施設整備等1億1600万円、医師確保のための研修センター宿舎の整備事業3億円など)。
 東近江市内の新たな医療機関(急性期・二次救急)は▽国立=結核拠点病院、HIV拠点病院、呼吸器センター▽東近江市立=レスパイト入院、開放病床、産科オープンシステム、消火器内視鏡センター。また、能登川病院は機能転換等のうえ、回復期リハビリテーション機能を担う(肝疾患専門医療機関)。臨床研修センターでは臨床医養成、医師派遣を行う。湖東記念病院には心臓血管センター、脳神経外科センター。
 産科医師が不足する中、高度医療への対応を図るため「周産期医療を担う医療機関の機能強化・充実事業」に7200万円(近江八幡市立総合医療センターにおける地域周産期母子医療センターのNICUの機能充実整備、周産期協力病院として日野記念病院の施設整備)。圏域内の医療提供体制の機能強化を進める「回復期・維持期病棟充実整備事業」に5000万円。療養病床の在院日数がすべての医療圏のうち最長となっているため、医療機能の分化・連携体制の確立を図る「在宅医療等推進事業」に9億6280万円(医療連携の拠点となる地域医療支援センター整備事業、ITネットワークの構築など)。地域医療支援センター(地域連携クリティカルパス管理運営)は在宅医療・在宅ホスピス支援、訪問看護ステーション、一次救急(近江八幡、八日市一次救急診療所)。
 一方、湖東・湖北医療圏地域医療再生計画によると、圏域内には回復期リハビリテーション病床を有する病院がなく、急性期病院を退院した患者の受け皿がないことから「回復期医療等を担う病院確保事業」に5億3000万円。回復期リハビリテーション機能を担うための施設整備に対して補助を行う。市立長浜病院に回復期リハビリテーション病棟を整備。豊郷病院には同病棟30床を整備する。
 地域医療連携の取り組みを推進するための体制整備として「地域医療支援センターの設置事業」に6億1000万円。地域の医療資源の役割分担(機能分化)と連携を図るため、総合的な機能を備えた拠点施設として、歯科・薬剤管理を含めた在宅医療拠点施設、休日急病診療所、訪問看護ステーションを統合。地域連携クリティカルパスの取り組みを推進する。このほか、病院・診療所・訪問看護ステーション・薬局間の診療情報の共有がないため「地域医療連携ネットワークの構築」に2億3000万円。診療情報等の共有化を図るためのシステム等を導入する事業に対し補助する。