建通新聞社四国
2009/12/18
【徳島】土柱保存へ緊急調査委設立へ 阿波市が11年度
阿波市は、15日に開かれた市議会12月定例会付託の文教厚生委で、国指定天然記念物「阿波の土柱」周辺に土砂が堆積している問題について、2011年度に緊急保存調査委員会を設立する方針を明らかにした。10年度から学識者らと市教委担当者で構成する準備委員会を設立し、本格的な調査に向けた準備を進める見通し。
阿波の土柱は、砂礫層が浸食されて形成された奇勝で、国の天然記念物(1934年)。土砂は約30年前から堆積し始めたとされており、堆積土砂が斜面を形成して土柱本来の景観が損なわれている。景観を構成する主な6嶽のうち、特に堆積が進んでいるのは、もっとも大きく天然記念物の指定を受けている波濤嶽(はとうがたけ)。04年に相次いだ台風で大きな柱が何本か崩落したこともあり、景観の悪化を懸念する声が上がっていた。
緊急保存調査委員会は、地質、地形、傾斜保全工学、景観、植物など5分野の学識者らで構成。土砂の堆積量や崩落の危険性などを調査、対策の可能性などを検討し、保存に対する指針を定める。調査期間は11〜12年度の2年間を見込んでおり、調査結果や指針を盛り込んだ保存管理計画を12年度までに策定し、文化庁に提出する予定。文化庁の許認可が得られ、緊急性が認められれば、国や県と協議し、土柱保全に向けた対策が動き出すことになる。